スケールメリットによる効果とは シナジー効果との違いを解説
(※本記事は日本M&Aセンターが運営する「M&Aマガジン」に2025年1月7日付で掲載された記事を、許可を得て掲載しています)
人口減少で縮小する市場において生き残りを賭け、スケールメリットを活かした経営戦略を採用する企業が増えています。事業規模や生産規模を拡大することで、調達コストの削減や生産効率の向上が望めるためです。 しかしスケールメリットにはリスクも伴います。規模を拡大しても思うような利益に結びつかない、管理体制が整わず品質低下を招く、などかえってマイナスの効果を生んでしまうことも珍しくありません。本記事では、スケールメリットの概要について解説します。
スケールメリットとは?
ビジネスにおいてスケールメリットとは、企業が事業や経済活動の規模(スケール)を拡大することで得られるメリットを指します。
例えば企業が生産量や取引量を増やすと、調達コストや物流コストを削減できるため、生産効率の向上を図ることが可能になります。このように規模拡大の結果得られる優位性などのメリットをスケールメリットと言います。
シナジー効果との違い
スケールメリットと混同しやすい言葉に「シナジー効果」がありますが、両者には明確な違いがあります。
スケールメリットは、前述の通り、企業が事業規模や生産規模を拡大することで得られる、効率化やコスト削減の効果のことです。代表的なものとしては、同業他社を買収することで調達コストを削減したり、大量生産による単価引き下げを実現したりすることなどが挙げられます。
これに対してシナジー効果は、自社の強みと他の企業・事業の強みを組み合わせることで生まれる相乗効果を指します。他の会社とのM&Aを通じて新商品や新サービスを生み出し、新たな市場を開拓することなどが挙げられます。
スケールメリットが規模拡大による効果に重点を置くのに対し、シナジー効果は異なる要素を組み合わせて新たな価値を創出する点において異なります。
スケールメリットが企業経営に与える影響
スケールメリットが企業経営に与える影響の中でも、代表的なものは次の4つです。
経営の効率化
スケールメリットを得るために生産量を増やすと、固定費を多くの製品で分散できるようになるため、1つあたりのコストが削減できます。また物流ネットワークを再編成すれば、重複するルートや設備の無駄が減らせるため、運営効率を高めることも望めます。このように、スケールメリットにより事業全体の効率化が進むため、リソースの無駄使いが大幅に改善できます。
したがってスケールメリットが得られると、最小の社内リソースで最大の効果を引き出すことが可能になり、経営が効率化されます。
生産量の拡大
スケールメリットを得るために生産規模を拡大すると、生産量を増やすことが可能になります。また大量生産体制が整うと、製品1つあたりのコストを削減できるようになるため、価格競争力も高まります。さらに、大量の商品を安定して供給できるようにもなるため、需要の急増にも対応しやすくなるでしょう。
コスト削減
企業が規模の拡大を達成すると、様々な場面でコストの削減が実現できます。生産規模の拡大に伴い原材料などの仕入れが増えるため、単価の引き下げや、資材や部品などの調達費用を抑えられます。また、生産拠点や物流ネットワークの統合も同時に行えば、設備や人員の重複なども避けられるようになるため、全体の運営コストの削減も達成できます。
したがってスケールメリットにより、企業は競争力を高めながら、コスト削減による利益率の向上も図ることができます。
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