Helical Fusionと福岡大 世界初の「核融合倫理」構築へ共同研究

世界初のフュージョン(核融合)エネルギー実用化を目指し、ヘリカル型核融合炉を開発するスタートアップのHelical Fusion(東京都中央区)は2025年10月23日、福岡大学との間で、世界初となる「『核融合倫理』の構築」に関する共同研究を開始したと発表した。世界に先駆けた核融合の社会実装を進める日本から、その実現後およびその過程において課題となりうる哲学的・倫理学的論点の整理や議論を進め、スムーズな社会実装に貢献するとともに、その後の人類のあり方についての検討も試みる。核融合に関して本格的に哲学・倫理学的な研究を行うのは世界でも例のない取り組みとなる。

共同研究代表者を務めるHelical Fusion代表取締役CEOの田口昂哉氏(左)と、哲学・倫理学を専門とする福岡大学人文学部教授の林誓雄氏

Helical Fusion代表取締役CEOの田口昂哉氏は、「核融合は宇宙の根源的なエネルギーであり、人類にとって最後のエネルギー革命になるだろうと思っています。私は元々大学院の修士まで倫理学を専門としていたこともあり、この技術が人類にもたらす影響についてあらかじめ考えを深めておく必要性を感じていました。単に技術を開発するだけでなく、それが社会・人類・地球に及ぼす影響について責任を持つ意味で、早くから哲学・倫理学的観点からの考えを深める必要があると考え、本研究の開始に至りました」と語っている。

Helical Fusionは、2021年に国立研究所からスピンアウトして誕生したスタートアップ。日本生まれの「ヘリカル式」核融合炉で世界初のフュージョンエネルギーの社会実装、世界初の核融合プラントの実現を目指している。同社は世界でも稀有な炉全体の開発・設計技術だけでなく、要素技術の開発力も高く評価されており、核融合用の先端技術(超伝導)では、文部科学省から20億円の補助を受けて開発を加速している。