豪州、家電メーカーに部品保持・修理対応の義務強化へ 法整備の検討進む

(※本記事は『THE CONVERSATION』に2024年7月18日付で掲載された記事を、許可を得て掲載しています)

オーストラリア人は家電製品が大好きだ。国内の家庭用電化製品市場は2024年に130億オーストラリアドルに達する見込みで、年々成長している。

平均的なオーストラリアの家庭には、大型電化製品が5台、バリカンやアイロンなどの小型のものが最大10台ある。また、電池で動くその他の電子機器も多く存在することは言うまでもない。最も一般的な電化製品は冷蔵庫と洗濯機であり、掃除機、電子レンジ、トースターがそれに続く。

しかし、これらの電化製品が故障した場合はどうなるのだろうか。残念ながら現状、オーストラリアでは故障した家電は修理される可能性が低い。しかし、そうでなければならない理由は無い。

もしこの分野における法整備が追いつけなければ、オーストラリアは早晩、安価で質の低い電化製品の巨大なゴミ捨て場になってしまう可能性がある。

最近の電化製品は修理が難しくなっている

10年ほど前までは、テレビや洗濯機などの家電製品が故障した際には修理業者を呼んで部品を調達することで問題を解決できた。

しかし現在では、大きな家電や小型の家電を修理することは不可能ではないにしろ、非常に困難だ。ブランドや小売業者は、しばしば修理よりも交換を勧めてくる。

現代の白物家電や電化製品は技術的には修理可能かもしれないが、コストが高い。サービス技術者の出張費用が高く、部品の入手も難しいからだ。

また、多くの家電製品は修理が不可能な設計になっているか、スペアパーツが入手できない状況にある。

ほとんどのメーカー、ブランド、小売業者は1年か2年ほどの保証しか提供しておらず、多くの場合、延長保証に追加料金を支払うことを勧められる。しかし、保証延長は本来必要ないはずだ。オーストラリアの消費者法では、メーカーや輸入業者に対し「適切な期間(購入後のメーカーの保証よりも長い期間)」、スペアパーツや修理体制の提供を要求しているからだ。

しかし実際のところ、保証が切れた後、故障した家電を持つオーストラリアの消費者がとれる手段は、オーストラリア競争・消費者委員会(ACCC)に消費者としての権利が侵害されたとして訴えるしかない。しかし、消費者擁護団体が繰り返し指摘しているように、修理よりも交換を優先することで、我々の消費者としての権利を遵守しないメーカーに対する罰則はない。

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