世界人口は減少へ 環境対策や移民政策、熟練労働者の確保にどう影響するか

(※本記事は『THE CONVERSATION』に2024年8月26日付で掲載された記事を許可を得て掲載しています)

傾斜地にまばらに建っている古い住居が、緑色の蔦や草木で埋もれるように覆われている様子を空撮した画像
漁村だった中国浙江省の後頭湾は人々が去った後、自然が侵食した

現在、人類の人口増加において、長い間不可能だと考えられていたことが、揺らぎつつある。2024年7月に公表された国連の世界人口推計2024年版によると、今日では世界人口が予想よりも早くピークに達する可能性があり、2060年代に100億人を超えた後、減少に転じる見込みだ。

裕福な国々では、すでにこの現象が始まっている。日本の人口は急激に減少しており、1時間あたり100人の純減だ。ヨーロッパ、アメリカ、東アジアでは出生率が急激に低下している。多くの中所得国や低所得国でも、出生率は低下しつつある。

これは驚くべき変化だ。人口学者たちが、世界人口が123億人に達する可能性を予測していたのは、わずか10年前だ。現在の人口は約80億人である。

50年にわたり、一部の環境保護主義者は、世界の人口増加を抑えることで環境を守ろうと試みてきた。1968年に出版された『人口爆発』では、大規模な飢饉を予測し、大々的に出生制限を呼びかけていた。

しかし現在、我々は非常に異なる現実に直面している。人口増加は抑制しなくても鈍化しており、裕福な国々では人口は減少、出産を奨励する努力を必死に重ねているが、ほとんど効果は見られない。世界人口の減少は、環境にどのような影響を与えるのだろうか?

先進国を中心に人口減少はすでに進行中

ヨーロッパ、北米、北アジアの一部では、人口減少が数十年にわたって進んでいる。過去70年間以上、出生率は着実に低下しており、低い水準で推移している。一方、平均寿命が伸びたことで、これらの地域では25年以内に、80歳以上の高齢者の数が倍増する見込みである。

中国は、最近まで世界で最も人口の多い国で、世界人口の6分の1を占めていた。しかし中国もまた、人口減少が進行中であり、急激に加速すると予想されている。

今世紀末までに、中国の人口は現在の14億人から3分の2減少すると予測されている。この急激な減少は、一人っ子政策の長期化によるもので、この政策は2016年に終了したが、人口減少を回避するのには遅すぎた。かつて世界11位の人口大国だった日本も、今世紀末までに人口が半減すると見られている。

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