代替肉や昆虫食、新しい食材の消費者イメージ改善方法2つ ヒントは寿司の普及に

(※本記事は『THE CONVERSATION』に2024年11月1日付で掲載された記事を、許可を得て掲載しています)

すのこの上に盛り付けられた巻き寿司
1980年代までに、多くのニューヨーカーが寿司を受け入れるようになった。数十年前には奇妙に思われていた食べ物だ。 Copyright: Satdeep Gill

未来の食生活はどうなるのか。その答えは、人々がどのような新しい食材を受け入れるかに一部依存している。

消費者は、食生活を見直すよう指摘されることが多くなっている。現在の食習慣は持続可能ではなく、世界的な食肉の需要は増加しているためだ。

近年では、いわゆる代替タンパク質についての関心や投資が増加している。これは、従来の肉に代わる、より持続可能な製品群を指す。一例として挙げられるのが、培養肉や培養魚介類だ。これは、動物の幹細胞を用いてバイオリアクター(細胞を増殖させるための専用装置)内で培養された筋肉組織である。他には、標準的な肉を昆虫や植物由来の代替肉で置き換える方法もある。これらの製品は全て、大規模農場で生産された肉よりも持続可能であることがわかっている。しかし問題は、消費者がこれらを受け入れるかどうかだ。

私は、食材と嫌悪感について研究する哲学者であり、培養肉や昆虫といった新たな代替タンパク質に対する人々の反応に興味を持っている。嫌悪感や新しい食材への恐怖は、持続可能な食材を採用する際の障害としてよく挙げられる。しかし、近年の歴史を振り返ると、もう少し複雑な状況が浮かび上がる。過去の食習慣の変化を見ると、新しい食材を受け入れるには「親しみ、安全性」と「目新しさ、興奮」の2つのアプローチがあることがわかる。

新しい食材への嫌悪感と「嫌悪要素」

嫌悪感とは、汚染されている、不潔であると感じられるものに対する強い拒否感である。科学者たちは、これは病原菌や寄生虫のような目に見えない汚染物質から人間を守るために進化したと考えている。糞便や嘔吐物のように、嫌悪感を引き起こす原因が広く共有されているものもあれば、文化によって異なる食品が嫌悪される場合もある。

そのため、昆虫を食べることへの意欲は国によって異なるのも不思議ではない。昆虫は古代ギリシャを含む世界中の伝統的な食文化で重要な役割を果たしてきた。

続きは無料会員登録後、ログインしてご覧いただけます。

  • 記事本文残り71%

月刊「事業構想」購読会員登録で
全てご覧いただくことができます。
今すぐ無料トライアルに登録しよう!

初月無料トライアル!

  • 雑誌「月刊事業構想」を送料無料でお届け
  • バックナンバー含む、オリジナル記事9,000本以上が読み放題
  • フォーラム・セミナーなどイベントに優先的にご招待

※無料体験後は自動的に有料購読に移行します。無料期間内に解約しても解約金は発生しません。