阪南市が藻場の保全・再生で連携 大阪湾を海洋環境創造のモデルに

関西国際空港を運営・管理する関西エアポートと阪南市は、「大阪湾の海の森(藻場)保全・再生プロジェクト」に連携して取り組んでいる。建設計画時から海域環境との調和をめざしてきた関空と、府内最大のアマモ場を有する阪南市が手を携え、都市部に臨む大阪湾で豊かな海洋環境の創造に挑もうとしている。

門田 亜也 関西エアポート株式会社 渉外本部 地域連携部 地域共創グループ
大谷 優里 関西エアポート株式会社 技術本部 技術統括部 環境・空港計画グループ
前田 雅寛 阪南市 未来創生部 シティプロモーション推進課 課長
聞き手 : 小宮信彦 事業構想大学院大学 特任教授、電通 ソリューション・デザイン局 シニア・イノベーション・ディレクター

左から阪南市の前田氏、関西エアポートの門田氏、大谷氏、阪南市の大阪・関西万博担当部署の石橋氏

大阪湾の藻場の2割を
占める関西国際空港の藻場

小宮 関西エアポートのこれまでの取り組みとその経緯について教えてください。

門田 大阪国際空港(伊丹空港)に代わる国際空港を関西に建設する話が持ち上がった経緯を振り返ると、都市部の空港ゆえの騒音問題に端を発しています。関西国際空港の建設に際しては、「公害のない、地域と共存共栄する空港」を掲げました。騒音対策として大阪湾泉州沖約5kmの海上に建設したのですが、一方で海を埋め立てることで大阪湾の生態系に影響を与えかねず、計画当初から海域環境との調和をめざしました。海域生物が生息しやすい環境をつくるため、空港島護岸の大部分に直立護岸ではない緩傾斜石積護岸を取り入れて日が当たりやすくし、海藻類の種付けも行いながら豊かな藻場を造成してきました。

その後も、良好な藻場環境の維持や拡大に向け取り組みを継続したことにより、大阪湾にある藻場のうち、約2割は関西国際空港の藻場が占めるまでになり、様々な魚介類の生息場となっています。

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