人の個性を理解できるAI開発 「孤独」という社会課題を解決する

事業構想研究所の「プロジェクト研究」は、大学院カリキュラムのエッセンスを元に、新事業構想を1年間でつくる研究会。これまでに2500名を超える修了生を輩出し、多くの成果も創出されている。修了生は、オンライン上の意見交換ツールや、修了生向けのアルムナイイベントに参加し、研究会や企業の枠を超えたコミュニケーションを取りながら、事業構想を推進していく。

人の個性を理解できるAI開発
「孤独」という社会課題を解決する

12月4日には、プロジェクト研究の修了生向けの「第2回アルムナイイベント」を開催。人に優しいAI「HUMANE AI」の開発を日本で行うバットシグ・ミャンガンバヤル氏(Ruppi Inc. 創業者 兼 CEO)を講師に招聘し、「AIが社会課題を解決する未来」をテーマに講演を行った。

ミャンガンバヤル氏が大切にしている哲学は「情熱」と「社会の最も大きな課題を解決すること」。「人間の価値観を理解し、人と人をつなぐAIシステムを創ることに情熱をかけて取り組むことで、孤独という社会課題を解決したい」と考え、HUMANE AI「Ruppi」を立ち上げた。

Chat GPTなどの大規模言語モデルとHUMANE AIの大きな違いは、前者は文章の意味を理解できることが特徴だが、後者は人の個性を理解できることを目指している。同氏はこの技術が人材紹介やM&A、不動産取引などにも応用できると見込んでいる。

後半は、水谷享平氏(STYLY CSO)と「事業構想×AI」をテーマにトークセッションを行った。「AIを活用した新規事業を考える際のポイント」という問いではAIの学習には大量のデータが必要であるため、データが大量に集まっているところを基点に考えていくと良いと説明した。最後に、日本は Humane AI のような次世代の調和的なAIテクノロジーを先駆け、発祥の地となる可能性があると話し、「日本のみなさんも自分のためだけではなく、世界平和、社会のための構想を考えてほしい」とエールを送った。

全国から修了生が参加し、新たな気づきを得るよい機会となった。

シリコンバレーで活躍するバットシグ・ミャンガンバヤル氏(Ruppi Inc. 創業者 兼 CEO)(左)。
水谷 享平氏(STYLY CSO)と「事業構想×AI」をテーマにトークセッションを実施。

<研究員の声>

アイデアの種を探して
ブラッシュアップ

エンザイム・センサ 研究員
(つくば新事業プロジェクト研究(第3期)修了生)

長く研究分野に所属していて、面白いアイデアがあってもうまく広まっていかない、社会に活用されないことを見てきたので、ビジネスにできる機会があれば自身で学びたいと考えていました。

研究会に参加する前は、座学中心に事業プランの立て方など教わると思っていましたが、予想とは異なり、「まずはアイデアの種を探そう」という発想から始まったこと、そしてアイデアの種は天才だけが閃くものではなく技術や訓練で生み出せるようになるものだという講義が印象的でした。また、グループディスカッションの機会も多く、研究員同士で活発にアイデアを出し、全員でブラッシュアップしていくことが楽しく、モチベーションが上がりました。これまでは出会う機会のなかった業界・業種の方々と、研究会を通して深く議論できたことで、視野が広がり、豊富な知見を得ることができました。

自身の構想を実現させていくとともに、自社の良さも広げていきたいと考えています。

事業構想計画
Sakeメトリクス事業
〜日本酒の味わいが視える受託測定サブスク〜

日本酒は毎年約2万銘柄発売されていると言われる。しかしラベルからの情報は専門的で分かりにくく、味わいの予想と実感が異なることがあるため、銘柄の多様性がある一方で、消費者にとっては選択の難しさがあることを課題として捉えた。

そこで、自社の強みである、酵素を用いた食品成分の簡易比色測定キットを活かし、日本酒の受託分析を行い、味わいを科学的に見える化する事業を構想した。

日本酒の味わいを構成する成分のうち、グルコース(ブドウ糖)、乳酸、グルタミン酸等をキットで測定し解析したマップを「SakeMetricsMAP(サケメトリクスマップ)」と命名。日本酒の受託測定とメトリクス情報をセットで提供する会員制サブスク事業を計画している。さらに、インバウンドを見込んだ日本酒試飲ブースでの販促や飲食店における料理とのペアリング(メニュー開発)での利用を目標にしている。また、会員が自分で測定できる「お酒ミエール」の販売も行う。

日本酒成分測定セット「お酒ミエール」も製品化して新規事業を展開する

プロジェクト研究

プロジェクト研究は、事業構想大学院大学 修士課程のカリキュラムのエッセンスを活かし、研究参加者の新たな事業構想と事業計画構築を行う1年間の研究会です。

担当教授が1年間を通じて、多彩なゲストを招きつつコーディネートとファシリテーションを行い、研究員の知見を高めながら推進していきます。

プロジェクト研究 概要

研究会:定例研究会(1回4時間、隔週24回開催、共同研究会年6回)等

形式:テーマ型/一社型

目的:新規事業、既存事業の再構築、地域活性などの構想・構想計画構築

定員:10〜15名

主担当教員:事業経験豊富な実務家教員

事業構想セミナー・説明会

セミナー、プロジェクト研究の説明会を実施しています。

長崎新価値創出プロジェクト研究(第2期)
 2/2(金)13:30〜
 オンライン

大分新事業開発プロジェクト研究(第3期)
 2/5(月)13:30〜、2/14(水)13:30〜
 オンライン

詳細・申込は事業構想大学院大学公式ホームページより