多様性重視 飛び地の事業を生み、やり遂げる覚悟を持つ人材を育成

新規事業は得意分野というイメージのある総合商社。双日では2019年度から新規事業提案制度『発想×双日・Hassojitz(ハッソウジツ)プロジェクト』を開始。多様性をキーワードに事業創出と人材育成の二面から取り組みを進める。

岡田 勝紀 双日 人事部 部長

バックキャストで飛び地の事業を生み出す

双日が2019年度からスタートした新規事業提案制度『Hassojitz PJ』。人事部と経営企画部が共催事務局となり、取り組みを進めている。

人事部長の岡田氏は「発想を実現することが『Hassojitz PJ』の目的。アイデアを実現するところまでやりきることを重視します。経営戦略・事業戦略に合致する事業の創出と、起業する力や人を巻き込む力という商社におけるコアコンピタンスを高める人材育成の両面が求められるため、経営企画部と人事部が共同で取り組んでいます」と話す。

双日には自動車、航空産業・交通プロジェクト、インフラ・ヘルスケア、金属・資源・リサイクル、化学、生活産業・アグリビジネス、リテール・コンシューマーサービスの7つの事業本部があるが、『Hassojitz PJ』ではこれらの事業本部にはない飛び地の新規事業提案を募集。従来各本部が行ってきたフォアキャスティングによる事業開発ではなく、2050年の世界を想定してバックキャストし、10年後、5年後、明日、今日やるべきことをイメージした提案が求められる。

制度では年に1度、社員から事業アイデアを募る。応募者は役員へ3分のプレゼンを行い、審査を通過したアイデアに対しチームを組成、中間発表、最終審査へと進む。すでに『ワイヤレス給電事業』『フェムテック事業』などの事業化が進行している。

事業アイデアのプレゼンテーションの様子。『ワイヤレス給電事業』『フェムテック事業』などの事業化が進行している

チーム構成・審査は多様性を重視

スタートから3年目を迎える同制度。〈若手〉をコンセプトにした2019年度は39名が応募、6チームを結成、うち4チームが事業化フェーズへ進んでいる。2020年度は〈起業家精神〉をコンセプトに対象を全社員に拡大。88案件の応募から審査し、8チームを結成。4案件が事業化フェーズに。そして今年度は〈脱自前主義〉をテーマに、他社との共創も視野に入れた発想を募集している。

「発案者に共感するメンバーを社内で募り、チームを組成します。7事業本部の横断組織という部分を重視し、部署だけでなく年齢等バックグラウンドが異なる多様性に富むメンバーで構成していきます」と、人事部 グローバル・人材育成課で事務局を担当する朝村氏は説明する。

一方で審査側も多様性を重視。社長・CFOなどの社内役員だけでなく、早稲田大学の入山章栄教授や、双日OB会組織『双日アルムナイ』会長の藤森義明氏(現 日本オラクル会長)、高乗正行氏(チップワンストップ社長)などの外部人材が加わる。既存7事業の延長線上にない事業、未来性、ESG・SDGsの観点などが審査のポイントだ。

各チームは月次で事務局へ進捗を報告。事務局と役員のサポートのほか、希望する課長職がファシリテーターとなって事業構想を詰めていく。

制度開始から3年、よりよいかたちで継続していくために次なるステップも考えていく必要がある。

「まだ検討中ですが、他企業や他機構、大学のインキュベーションプログラムなどとの連携も視野に入れています。また、当社はグループ・海外にも多くの社員がいますので、グループや海外への展開も考えています」(岡田氏)

『Hassojitz PJ』を起爆剤に、同社が中期経営計画で掲げる2030年の目指す姿、“事業や人材を創造し続ける総合商社”に向け邁進する。

 

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