ポーラ 部署・世代を横断、アイデアコンテストで提案発掘

ハイプレステージコスメティックスブランドとして女性の支持を集めるポーラ。社内新規事業提案制度を通じた事業創出の取り組みについて、同社 新市場企画プロジェクトリーダーの大城氏に聞いた。

2019年に創業90周年を迎えたポーラ。同社製品を扱う店舗は全国に約3800店、製品と顧客をつなぐ約3万5千人のビューティーディレクターを通して女性活躍・地域活性化にも取り組んできた。コロナ禍で事業環境が大きく変化するなか、同社では昨年から社内新規事業提案制度を構想。今年1月に募集を開始し、3月に第1回のビジネスアイデアコンテスト実施にこぎつけた。

大城 敦 ポーラ 新市場企画プロジェクトリーダー

ワークショップで機運を盛り上げ

本プロジェクトの構想・立ち上げを担当した、新市場企画プロジェクトリーダーの大城敦氏は、「募集から最終選考までは2カ月弱ですが、エントリーを集めるためのワークショップなどは昨年9月からスタートし、社内での土壌を醸成してきました」と語る。コンテストまでに4回開催されたワークショップには55名の社員が参加。部門や世代構成もさまざまで、大城氏としても予想外の反響だったという。

ワークショップでは新規事業の作り方やアイデア出しを行い、その後顧客インサイトなどを考察してアイデアを磨くという流れ。講師は基本的に大城氏が務めたというが、起業関連の書籍やウェビナー、また社外のコンサルタントの意見なども参考にしながらワークショップを組み立てた。

目標の倍以上の提案が

こうして参加社員のモチベーションを高めた後に開催された第1回ビジネスアイデアコンテストには、40件のアイデアがエントリー。エントリーにあたって求められるのは、収支やマーケティング計画などを記載する規定様式のアイデアシートと、規定様式に収まらない思いを書くストーリーシートの2つ。40件のアイデアは1次選考で8件に絞られ、2次選考でピッチコンテストが行われた。ピッチコンテスト当日は、その様子が社内でライブ配信され、多くの社員が視聴。共感性の高いアイデアには多くのコメントが集まるなど、双方向性のイベントとなった。

オンラインで開催された第1回ビジネスアイデアコンテストの様子。
KPIは15件だったところ、40件もの提案が集まった

審査を担当したのはポーラ社内から大城氏と経営企画部長、グループの研究機関のリーダー、外部のマーケティング系コンサルタントも加えた5名。まずは参加しやすさを重視するために、この段階では敢えて役員等の経営層は審査に入らずに共有のみとし、採用されたプロジェクトには入ってもらうようにした。

最終的に社内で採用された提案は3件。ターゲット設定や提供価値、ソリューションの実現可能性などから選定された。同社では2023年までに新規事業を1件ローンチすることを目標としており、今後はグループ会社との共創なども視野に入れて提案の磨き上げを進める。ボトムアップの新事業実現に期待したい。

 

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