経営刷新のオリオンビール 「県民のビール」へ原点回帰

創業から60年余りを経た現在、「第二創業期」として経営革新の真っ只中にあるオリオンビール。市場低迷が続くなか、同社が目指すのは「県民のビール」としての原点回帰だ。2019年に社長に就任した早瀬社長に、商品開発や組織改革などの取り組みについて話を聞いた。

第二創業期を迎えた
ベンチャーとして再出発

沖縄県民に衝撃が走った、2019年3月のオリオンビール買収から約2年。外資系企業を渡り歩いた後、2019年7月に社長に就任した早瀬京鋳氏の手腕を活かし、同社は現在、投資ファンド傘下での経営刷新が進められている。

早瀬 京鋳(オリオンビール 代表取締役社長兼CEO)

そもそもオリオンビールは、沖縄が米軍施政下にあった1957年に、県民の雇用確保と地域経済の復興を目指し、県内有志らの働きかけで創立された背景がある。県民とともに育った沖縄の象徴であるだけに、当初は買収をネガティブに捉える向きもあった。

しかし、早瀬社長は「オリオンビールのDNAは変わりません。歴史を紡いで次につなげたいという思いから現在を『第二創業』と位置づけました」と語る。

「私はコカ・コーラでの勤務経験もありますが、日本でロゴ入りTシャツを着てもらえる飲料メーカーは、コカ・コーラとオリオンビールだけです。お酒が飲めない人でも、沖縄に来るとTシャツを来て、ブランドの宣伝をしてくださる。そんな最大かつ唯一無二の価値を最大限に活かすには、残すべきものとアップデートすべきものを明確に分ける必要がありました」

アップデートすべきものに関しては、課題を洗い出すため、社員に対してシンプルな2つの質問を投げかけた。1つは「県民を笑顔にできることは何か」、もう1つは「オリオンにしかできないことは何か」だ。社長就任以来、常にこの2つを問いながら改革を推進してきたという。

とりわけこの一年で意義ある取り組みだったと振り返るのは、約30名の社員がプロジェクトを組んで、同社の新たなミッション・ビジョン・バリュー・行動規範を作ったことだ。経済環境の変化に伴い、顧客ニーズも日々多様化しているが、「人を、場を、世界を、笑顔に。オリオングループ」というミッションを軸に、同社に触れる全ての人が幸せになれるブランドを目指している。

プレミアムクラフトの開拓で
ビールカテゴリを強化

若者のビール離れが加速し、ビール市場は縮小傾向が続いている。業界大手4社(キリン、アサヒ、サントリー、サッポロ)に次ぐ国内5位のオリオンビールだが、ビール類の県内シェアは直近6年間減少が続き、2020年3月期に4割まで落ち込んだ。そうした最中に起こったコロナショックにより、社員一同で「人を、場を、世界を笑顔にするためにできること」を考えた結果、基幹商品の「オリオン ザ・ドラフト」を5年ぶりに全面刷新するに至った。

目指したのは、「県民のビール」への原点回帰だ。改革に際して実施した県民意識調査では、豊かな味わいと香りが特徴のクラフトビールや、原料や製法にこだわったプレミアムブールへの需要が高いことが分かった。そこで、「沖縄クラフト」と呼べるビールを目指し、県産素材として伊江島産の大麦を新たに採用した。これをやんばるの水で仕込むことで、"澄みと旨み"を感じるビールに仕上げた。

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