第一条 逆境をバネにする 事業構想に明け暮れた33年間

JR九州・唐池会長が経験した、失敗と成功からの学びをまとめた新連載「事業構想10ヶ条」。第1回は第一条「逆境力」。それは逆境をバネにし、乗り越える力のこと。明治維新を成し遂げた近代日本が示すように、逆境こそ、事業構想の最大のチャンスとなる。

クルーズトレイン「ななつ星 in 九州」。「JR九州による事業構想の集大成」と語る唐池会長は、そのアイデアを30年前から温めていた

事業構想の失敗と成功から

冒頭から恐縮だが、本誌のタイトルである「事業構想」という言葉があまり好きではない。

(おいおい、いきなり何を言うの?)

「構想」を手元の辞書で引くと、「これから行おうとする物事についての全体の内容や実現方法を考え、その骨子をまとめること」とある。つまり考えをまとめる研究ということ。本連載の趣旨からすれば、「事業創造」あるいは「事業改革」がイメージに近いと思われる。

「事業創造」は、結果で評価される。構想なるものを実行し最後までやり遂げてなんぼのものだ。

しかし、ここは謙虚になるべし。本誌の命名にあたって諸般の事情もあったと聞く。私も本誌の考えに従い、この連載では、事業構想として論じていくことにする。

事業構想の33年間

国鉄の分割民営化により全国のJR各社が誕生したのが1987年。JR九州の33年間は、事業構想の歴史そのものだった。鉄道事業を大胆に改革するとともに鉄道以外の新規事業に果敢に挑戦していった。そのうち私がリーダーとして主導したものも少なくない。

(また、えらそうなことを言う)

国鉄の分割民営化、つまりJRが発足して間もなく、4ヶ月間東京に勤務することになった。丸井本社での研修のためだ。当時次々に新機軸を打ち出し、流通業界の異端児と言われていた丸井は、旧国鉄で鉄道しか知らなかった者にとって、別世界そのものだった。

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