気象ビッグデータが拓く 未来予測の新ビジネス

気象は唯一、物理学的手法によって未来を予測できるという特徴がある。日本気象協会は、商品や電力について高精度な需要予測を実現するなど、新事業に挑戦。「100年企業」を目指す同協会の戦略について、常務理事の辻本浩史氏に話を聞いた。

辻本 浩史(日本気象協会 常務理事 事業本部長)

気象に関する様々な事業を展開

――日本気象協会というと一般に天気予報が思い浮かびますが、幅広い事業を手掛けられています。

辻本:日本気象協会は一般財団法人ですが、収入のほとんどを顧客へのサービス提供で得ており、その意味で民間会社です。私たちの事業を一言で説明すると、気象コンサルティングサービス。単に気象情報を提供するだけでなく、気象の観測やデータ収集、解析などの調査技術を併せ持ち、サービスを企画・立案しています。気象の情報提供・調査解析のどちらかを中心にした会社は他にもありますが、両方に力を入れてワンストップで実施していることが日本気象協会の特徴です。

事業の柱は主に3つ。1つは防災ソリューション事業です。気象情報を利用し、自然災害の予測システムを提供しているほか、防災の事前対策や避難、交通の適切な運行管理などを支援するシステムを手掛けています。

2つ目が環境・エネルギー事業です。近年、再生可能エネルギーの導入が急速に進んでいますが、日本気象協会は風力発電事業の環境アセスメントで国内トップクラスの実績を誇ります。

また、現在、エネルギー業界では大きな変革が起きており、発電部門や電力小売部門への参入も増えていますが、そうした構造変化は私たちにとってチャンスです。太陽光・風力の発電量は天候に左右されますし、例えば寒い日には暖房がよく使われるなど、電力の需要も天候の影響を受けます。私たちは発電出力予測や電力需要予測などを提供し、最適なエネルギーマネジメントの実現を提案できます。

そして、3つ目の柱がメディア・コンシューマ事業です。長年、テレビや新聞等のマスメディアを通じて天気予報の情報を提供しているほか、この20年程、自分たちでウェブメディア「tenki.jp」を運営しており、重要な事業に育っています。

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