2019年5月号

MPD発の新規事業

事業構想大で異業種との創発、省エネの新モデルを確立へ

水出 裕一郎(ReRay 代表取締役、事業構想大学院大学3期生)

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地球温暖化やエネルギー問題が深刻化する中、省エネとビジネスの両立は企業にとって、ますます重要な課題となっている。株式会社リレーでは、豊富な省エネ製品を組み合わせ、個々の企業のニーズに合ったソリューションを提案している。

水出 裕一郎(リレー 常務取締役、事業構想大学院大学 3期生(2014年度入学))

顧客に近い視点で
ソリューションを提供

大阪市中央区に本社を置く株式会社リレー(Re:ray)は、豊富な製品やシステム、サービスによって、顧客のニーズに合った最適な省エネを提案する事業を展開している。従来は別々に活動していた4社を事業統合し、2014年5月にリレーが設立された。

現在は「省エネ」をキーワードに、従来の4社の強みを活かした様々な事業を手掛けている。リレー常務取締役の水出裕一郎氏は、精密機器製造業のノーリツ鋼機株式会社で新規プロジェクトマネージャーを務めていた2014年に、事業構想大学院大学への進学を決めた。

「当時は、新たな事業を立ち上げるための過渡期でした。事業のスピード感やアライアンスなどに関して様々な課題がある中、事業構想大学院大学で学び、視野を広げたいと考えました」

水出氏は大学院進学のきっかけについて、こう語る。リレーの事業では現在、省エネとビジネスの両立に向けて、①電力コスト削減、②販売促進、③投資・コスト削減―という3つの分野で顧客にソリューションを提供している。

電力コスト削減の分野では、空調設備の自動制御によって年間を通じて電気の無駄を削減する「エコハンターシリーズ NK-15(EMS機器)」や、業界トップクラスの高効率空調機器、省電力で長寿命なLED照明の導入を提案している。

販売促進の分野では、高輝度LEDによって日中の屋外でも鮮明な表示を実現し、視認性を高める「LEDビジョン」や「LEDサイン」、デジタルサイネージなどを提供する。さらに、豊富な省エネ製品を組み合わせて最適な省エネ環境を構築する「トータルプランニング」によって、顧客の投資コスト削減に貢献している。

2016年からは、一般社団法人「環境共創イニシアチブ(SII)」が公募を行っている「エネルギー使用合理化等事業者支援補助金に係るエネマネ事業者」に申請し、採択されている。

リレーでは従来から機能性を高めたLED 照明を市場に投入し、大型商業施設やオフィスビルなどの施設で導入されてきた。また、高効率空調機器をはじめとする様々な省エネルギー製品の販売から工事までワンストップで対応し、顧客施設の電力最適化に向けた事業を展開してきた。このような中で、エネルギーマネジメントでもソリューションを提供していこうと、エネマネ事業者の登録申請を行い、採択された。

現在はエネマネ事業者として、主に工場やオフィスビル、商業施設などのエネルギー需要家へのエネルギーマネジメントシステム(EMS)機器普及も推進している。さらにエネルギー使用量の監視や制御をトータルでサポートし、導入施設の省エネルギー化を支援している。

業界の課題解決に向けた
プラットフォームに

電気設備業界では近年、人手不足が顕著になっており、現場で働く人々の高齢化も進んでいる。

「事業構想大学院大学では異業種の人たちが共に学ぶため、異なる業界でも後継者不足など共通の課題を抱えていることを実感しました。その打開策としてIoTやAIを使うのか、あるいは人のネットワークによって新たなスキームを作っていくのかといった議論にも参加でき、非常に参考になりました」

水出氏は2016年に「省エネを通じた地域活性型ビジネスモデル」というテーマで、修士論文に相当する「事業構想計画」を作成した。修了から3年が経過した現在も、修了生の勉強会や同窓会には積極的に参加しているという。

「修了生の会合には、修了生全体が集まる『MPDサミット』がありますが、私たち3期生の有志では定期的に勉強会も行っています。同窓生が集まると、事業構想計画に基づく事業の進捗はどうかという話になり、他の修了生から刺激を受けます。これは『自分が進む道は間違っていないか』『いくらか修正した方が良いか』と振り返る良い機会にもなります」

全国の電気工事業者は現在、後継者不足のほか、多重下請け構造の中で十分な利益が確保できないなど、様々な課題を抱えている。このような中、水出氏は事業構想計画書で、リレーが協同組合のようなプラットフォームとなり、全国各地の中小の電気工事店と共に、様々な課題を解決していく計画を立てた。大学院修了後は、その実現に向けた活動を実践している。

LEDによるライティング(調光)のサポートフロー

戦略的パートナーと共に
事業の拡大を目指す

地球温暖化対策やエネルギー問題への対処が急務となる中、省エネの分野では、様々な革新的な手段が急速に生み出されている。リレーは現在、単独で事業を全国展開しているが、今後は戦略的パートナーと組み、大きなアライアンスを形成しようとしている。それによって事業を拡大し、顧客への対応窓口を増やしていく方針だ。

「現在は、そのための準備段階に入っています。私たちが目指す方向に共感していただける会社があれば、全国各地で連合を組み、お客様に対応していきたいと考えています」

リレーの強みは、電気工事や建築工事など顧客に近いところできめ細やかな省エネへのソリューションを提供できる点だ。今後はさらに大手企業とも提携し、より幅広いニーズに応えていこうとしている。

「省エネの分野では、ゼネコンや大手企業はスマートシティなど壮大な計画を進めていますが、私たちはより現場に近いところで事業を行っており、協力できる部分は多いと思います」

今後の事業展開でも、その基盤にあるのは事業構想大学院大学で作成した事業構想計画書だ。水出氏は今後もこの計画を改変しつつ、より強固なビジネスモデルにしていくことを目指している。

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