事業構想大学院開学後初、3拠点で入学式 地域と探る構想の可能性
開学後初 三拠点で入学式
事業構想で更なる飛躍を
学校法人先端教育機構は、今年4月に事業構想大学院大学の別置キャンパスとして、大阪校(大阪市北区堂島)と福岡校(福岡市中央区天神)を開校した。
これに伴い事業構想大学院大学では、2012年4月に開学後初めて、福岡・大阪・東京の順に相次いで入学式が開催された。多彩なバックグラウンドを持つ入学生は、教授・関係者の方々から祝福の言葉で迎えられた。新入生代表からは「事業構想という考え方のもと更に飛躍していきたい」と決意の言葉が述べられた。
大学院生は、2年間に及ぶ修士課程の学修の中で、社会の一翼を担う事業の種やアイデアを開発し、新規事業開発・地方創生に資する計画を構築していく。首都圏以外の地域にも拠点化したネットワークの繋がりを活かし、相互の交流や情報交換を促し、学内での更なる共創が期待される。
修了生の活躍
「守りつつ広げる」承継戦略で
地域に根ざす食をプロデュース
大学卒業後、IT系の広告企業に勤める有岡氏。大学院の存在を知ったのは偶然だが、自身の課題意識に直結したテーマに魅かれ入学を決意したという。
「実家の高知県で祖母が営んでいる製麺所の承継、『地域を相手にした食に関わる事業』をテーマに、ファブレス(工場を持たない企業)という形で、地域の活性化と商圏の拡大に繋げていけるような構想を考えました。他方で広告領域にも興味があり、今の仕事に就いたものの、地元である高知に帰りたい気持ちもあり、大学院に入ることで具体的なキャリアイメージを得たいと考えました」
地元では大手スーパーの進出と共に地元の商店が撤退を余儀なくされているが、高齢者をはじめとする「買い物弱者」からは、対面での個配に対する期待も高い。
「修了後の今、IT領域ならではの特徴を活かし、東京を離れ高知で平時の製麺所の動きを体感しながら、現在の東京の仕事を高知からのテレワークで試してみようとしています。その中で、構想にフィードバックする部分を試そうとしているところです。地域に根ざす製麺所として、稼働率が下がっている製麺機の時間貸出などを考えています。主要な卸先は給食やスーパーですが、他のレストランの製造請負や、単なる設備貸しも選択肢としてあると考えています」
模索しつつ動く中で心境の変化はあったのだろうか。「当初は自分の拠点を一箇所に定めて構想を考えがちでしたが、最近は、東京圏と高知の二拠点で現業と実家の事業を並行して両立できないかと思案中です。その方が互いに好影響を与えることができると考えています」。言葉を選びつつ真摯に応える様に、市場からの反響がうかがえた。