未来逆算型中期経営計画策定~事業構想から考える~

事業構想に関していろいろな例えがあり得るだろうが、登山のようなものだと考えてみる。山を登る前に登るべき山を決めずに登る人はいないだろう。山頂というゴールから逆算して、旅程や滞在場所を決めるはずだ。事業をはじめる時も、目指すべき理想の姿から、自分自身の経営資源を眺め、未来の視点で理想の計画を構築する。これがバックキャスティングであり、事業構想の基本的な考え方である。登山がそうであるように、時として計画に変更は付き物であるが、理想の姿を描いていれば、計画変更も容易である。

上記のような内容を踏まえて、中期経営計画について考えてみたい。中期経営計画も事業構想と同じく、未来のあり方を考えるものである。多くの企業の事業戦略担当の部署は、中期経営計画策定に苦しんでいる。今の事業戦略を考えつつも、未来の事業体のあり方を考えることは困難な作業であり、全社的な合意を得ることはさらに難易度が高い。その結果、各事業部の将来予測の数字を寄せ集め、積み上げる型の中期経営計画を策定することが多い。多くの中期経営計画は3年計画であることが多いが、これは事業が転換するにはあまりに短い期間である。3年という期間設定と積み上げの結果、現在の延長線上の未来像となる。3年たった後の目指すべき方向性はそこには無く、目指すべき山を決めずに登り始める登山のようだ。

事業構想の観点から考えれば、中期経営計画は、理想の姿、企業のビジョンが実現されている状態から逆算して描かれた計画であるべきだろう。未来逆算型の中期経営計画である。10年後、20年後あるいはそれ以上先の未来像に裏打ちされた3年後の事業ビジョンとそのための行動計画こそが中期経営計画である。企業のビジョンは全社的に説得力を持つものであり、その実現のために進んでいる計画であれば、社内の共感は確実に集まるはずだ。中期経営計画策定に悩んでいる方は、まずは企業のビジョンをもとに20年後の企業の未来像を描きだし、そこから振り返ってみると違った視点が開けるだろう。長期の計画は人を惹きつける。そこに着実な歩を進めるための具体的な行動計画を含んだ中期経営計画が策定することが、日本企業がイノベーションを生むための最重要課題の一つではないだろうか。

 

 

事業構想セミナー

事業構想から考える未来逆算型の中期経営計画策定

中期経営計画の策定は多くの企業において悩ましい作業です。事業の未来を見据えた計画策定が不可欠であることは理解できていても、激変する市場環境や製品のライフサイクルの短命化、業務の複雑化の中で、未来を予測した計画を作ることは困難です。本セミナーでは、事業構想の考え方、特にバックキャスティングの考え方に触れる中で、未来予測する中で計画を立てるのではなく、未来から振り返る形での計画立案する方策について考えます。中期経営計画策定に悩み方々の視野の転換に役立つような話題提供をし、議論をおこないます。

日時:6月24日(金) 15時~17時
場所:事業構想大学院大学(東京・表参道駅徒歩1分)

プログラム
●事業構想の基本的な発想法・バックキャスティングと
未来逆算型中期経営計画
●中期経営計画や未来の市場予測に関する対話

お申し込み・お問い合わせ
事業構想大学院大学 http://www.mpd.ac.jp/
tel. 03-3478-8411
e-mail. jken@mpd.ac.jp

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