2015年7月号
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ビジネスモデル分析の視点

「顧客価値は何か?」が、ビジネスモデル変革の起点

山田英夫(早稲田大学ビジネススクール教授)

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顧客は、何に対価を支払っているのか。有価証券専門の印刷業だったプロネクサスは、顧客の課題解決に向けて、脱「印刷業」を進めることで成長を遂げた。「顧客価値は何か」を考えることは、ビジネスモデルを変革するうえで有効な視点となる。
文・山田英夫 早稲田大学ビジネススクール教授

 

Case Study

プロネクサス(旧:亜細亜証券印刷)は、1930年に株券の印刷会社として設立された。株券は現金同様に高い価値を持つことから、改竄されない技術を磨き、正確性とセキュリティへのこだわりが、同社のDNAとなった。1974年の商法大改正を契機に、招集通知など株主総会関連の印刷需要が急増した。その頃から同社が注力したのが、有価証券報告書の印刷であった。1980年代に入り、企業のディスクロージャー強化が求められるようになり、同社は企業と勉強会を重ね、セミナーやガイドブックを発行した。この頃から、決算の後工程(開示書類の印刷)の仕事から、前工程へと事業を広げていったのである。しかし決算関係の仕事は季節性が高く、手余りと手不足の繰り返しに悩んでいた(日本企業の多くが3月決算)。そこで1988年には、投資信託関係の募集書類の印刷を始めた。投信関係の仕事は年間通して受注があり、同社の仕事を安定させた。

開示の前行程に入り込み、スイッチングコストも高める

そして2000年代に入り、同社はいち早くデジタル化を進めた。2001年には金融庁に電子データで決算書類を提出するEDINETが始まった。有価証券報告書の印刷は、顧客のリピート率は高い。有価証券報告書のデータは基本的に過去5年分必要とされ、印刷会社を変更すると、過去のデータを合わせて提供しなくてはならず、企業のスイッチの手間は少なくない。

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