山形県・吉村知事の構想 最先端技術と食産業で理想郷を

山形県は豊かな自然に育まれた農林水産業が強み。さらに、有機エレクトロニクスやバイオなど、最先端産業の育成も実を結びつつある。吉村美栄子知事に、「理想郷」創造への取り組みを聞いた。

吉村美栄子 山形県知事

―知事は山形県の中長期的なビジョンをどのように描いていますか。

山形県には、精神性の高い伝統文化が息づく自然溢れる素晴らしい環境や、助け合いの精神が豊かな県民性という、全国に誇れる宝があります。また、自然と文化に培われた食や観光に関する多様で特色ある資源に恵まれています。

私はこの恵まれた地域資源を活かし、山形らしい、新しい成長の姿をしっかりと実現しようという強い決意を込めて、「自然と文明が調和した理想郷山形」という将来ビジョンを県民の皆さんにお示ししました。

先人から受け継いだ自然と文化を継承しながら、現代文明の中で、生かせるものは生かし、発展できるものは発展させ、働く場を創出し、県民一人ひとりが喜びと幸せを実感し、活き活きと輝いて生きていける、「住んでよし、訪れてよし」の理想郷を目指します。

このビジョンの実現には、「産業の振興」と「地域の再生」という2つの視点が重要です。その上で4本の成長戦略の実行に力点を置き、具体的な施策を展開しています。

成長戦略の1本目は、中小企業の振興、世界最先端の技術で産業形成、企業誘致の推進、「観光立県山形」の実現。2本目は、農林水産業を6次産業化することでの「食産業王国やまがた」の実現。3本目は、自然エネルギーで地域経済活性化・産業振興。そして4本目は、福祉・医療・教育の充実です。

有機エレクトロニクスとバイオ世界最先端の産業を山形から

―先端産業の育成、誘致ではどのような取り組みをしていますか。

本県の2枚看板ともいえる有機エレクトロニクス、バイオテクノロジーという世界最先端の技術を活用し、産業形成を進めています。

有機EL(エレクトロルミネッセンス)は、山形大学工学部を中心とするポテンシャルの高い研究を活用しながら、県内企業の技術力の向上や競争力の強化を進めてきました。その成果として、2008年度に有機EL照明パネル専業会社であるルミオテック(株)が県内に設立され、世界最高レベルのパネルが山形から世界に向けて発信されています。有機ELに取り組む県内企業も増加してきました。

さらに、「有機ELといえば山形県」の実現に向け、県産有機EL照明を全国に普及させる取り組みを進めていきます。有機ELの光は太陽光に近く、モノ本来の色を再現し、紫外線や赤外線を含まずモノを劣化させない特長があります。これを活かして、美術館・博物館等での活用を促進しながら、デザイン照明や一般照明分野へと市場を拡大していきます。

また、有機エレクトロニクスは、照明だけでなく、有機太陽電池や有機トランジスタなどへの応用展開が可能です。こうした分野での研究成果の事業化を推進し、産業の集積を図るため、私をトップに産学官が一体となった「山形県有機エレクトロニクス産業集積会議」を2010年度に設置しました。2013年度には、山形大学に「有機エレクトロニクスイノベーションセンター」が開設され、現在ここを拠点に、企業との共同開発が進められています。

―バイオテクノロジー産業の育成にも成果が出ています。

鶴岡市にある慶應義塾大学先端生命科学研究所の研究成果を活用したバイオ産業の集積に取り組んでいます。

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