ボーン・グローバル企業とは

近年、創業時から海外進出を狙う「ボーン・グローバル企業」が注目を集めている。海外市場で存在感を高めるベンチャー・中小企業は、どんな特徴を持っているのだろうか。東洋大学経営学部教授の中村久人氏に聞いた。

東洋大学経営学部 中村久人教授

ボーン・グローバル企業(以下BG企業)とは、創業時と同時、または2、3年以内などの早期に国際事業を開始したベンチャーや中小企業を指す。特に海外での売り上げが25%以上ある企業を言うことが多い。

将来的な内需縮小が確実な日本で、これからの時代はベンチャー、中小企業もさらなる海外進出が求められる。しかし、日本で海外進出といえば、大手企業が海外に支店を出す、大掛かりな工場を作るという印象が強い。

そんな状況のなか、日本のいくつかのベンチャーや中小企業は創業から間もなく海外事業を展開し、高い評価を得て国内外で注目を集めている。しかも、海外進出が比較的容易なIT系だけでなく、製造業も多い。

こういったBG企業は、経営資源が少ない中で、いかに海外展開をしているのだろうか。

経営層の海外経験と旺盛な起業家精神

日本におけるBG企業研究の第一人者である東洋大学経営学部教授の中村久人氏は、BG企業の特徴についてこう語る。

「BG企業は、もともとデンマーク、ノルウェー、スウェーデン、フィンランドなど北欧に多く存在することで知られています。人口が少なく内需があてにできない環境ながら、高い技術力を有しているので、IT、バイオ、医薬品、健康産業、エネルギー・環境など技術集約的で高付加価値の産業は国外進出を前提に事業を展開してきました。

グローバル化とICTの発展によって、日本においても同様の分野で一足飛びに早期国際化する企業が出てきています。まず、それらの企業の経営者に共通しているのは、国際的経験と旺盛な起業家精神ですね」

中村氏は、電動バイクを製造・販売するテラモーターズや、路面下の調査を手がけるジオ・サーチなどを例に挙げる。

テラモーターズの徳重徹社長は旧住友海上火災保険で5年勤めた後、アメリカでMBAを取得し、シリコンバレーのインキュベーション企業で5年間、代表を経験。帰国後、テラモーターズを起業した。

テラモーターズは電動バイクというニッチに集中し、急成長した

ジオ・サーチの冨田洋社長は、三井海洋開発に入社し、中東やアメリカでの勤務を経験。在職中に地中を電波で探査する技術を持つ企業に出会い、社内起業するも会社が倒産したため、その技術を引き継ぎ、独立している。

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