ワールドマーケティングサミット 教師としてのAI利用に注目

 

人工知能(AI)を指導役に仕事の効率を改善するシステムが、人工知能では代替が難しい言われている介護士や営業といった職種でも導入されるかもしれない。エクサウィザーズ(東京都文京区)の石山洸社長が、2017年12月8日、都内で開催されたワールドマーケティングサミットで明らかにした。

 

エクサウィザーズは、超高齢社会などの社会課題をAIを用いて解決するべく、Recruit Institute of Technologyの所長を務めていた石山社長が2016年に設立した企業だ。石山社長は、プロ棋士の藤井聡太四段もAIで将棋を学んだことなどから、AIを教師役に、人間に優れた技能を身に着けさせるシステムの開発に着手した。

その一つが、優れた介護人材を育成するために「ユマニチュード」と呼ばれる認知症ケアの技法を教える「AIコーチング」だ。より患者の立場に立ってケアを行うユマニチュードの介護では、認知症のお年寄りの介護拒絶が少なくなることが知られている。まず、ユマニチュードの技法で優れた介護を行っている介護士のデータをAIに学ばせた。このAIが、介護初心者や、通常の介護法で介護をしている介護士のお世話の様子(動画)を添削し、次回はよりよい介護ができるように指導する。

このAIのように、良い実績を上げている人間のデータをもとに、初心者やローパフォーマーを指導し、短時間で生産性を向上させられるAIコーチングは、営業や接客、工場の品質管理プロセスでも適用できると石山社長は考えている。「AIは人間の仕事を奪うといわれているが、AIのおかげで、それまではその仕事には就けなかった人でも業務につける、というケースも出てくるはず」と石山社長は話した。

Ishiyama1712.jpg