慢性膀胱炎の治療につながるか 善玉菌を膀胱で増やす方法の研究 

(※本記事は『THE CONVERSATION』に2024年11月15日付で掲載された記事を、許可を得て掲載しています)

培養された大腸菌がカバーガラスに付着しているカラー化された走査型電子顕微鏡画像
一部の大腸菌株は、病原性微生物と資源を競合し、優位に立つことができる。 Copyright: NIAID / flickr

毎年、米国および世界中で数百万人が尿路感染症(UTI)に悩まされている。特に女性、高齢者、一部の退役軍人は慢性UTIになりやすい傾向がある。

これらの感染症は通常、抗生物質で治療されるが、抗生物質の過剰使用はターゲットとなる微生物の耐性を高め、薬の効果を低下させる可能性がある。

この慢性UTIと薬物耐性の問題を解決するため、私たちは微生物学工学の専門知識を組み合わせ、特定の善玉菌株を含む「生体材料」を開発した。研究の結果、この生体材料から放出される「善玉菌」が栄養を巡って「悪玉菌」と競争し、勝利することで病原菌の数を劇的に減少させることが分かった。

さらに研究が進めば、この技術は抗生物質が効かない再発性UTIの対処に役立つ可能性があると考えている。

善玉菌を膀胱に届ける挑戦

人体内の微生物は、部位によって利用できる栄養が限られており、その供給量も異なる。細菌は他の微生物や宿主と競合して必要な栄養を獲得する必要がある。善玉菌が利用可能な栄養を取り込むことで、悪玉菌の成長を抑えることができる。悪玉菌が重要な栄養を奪われると、病気を引き起こすほどの数に達することができなくなる。

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