AEA2023 優勝は塗ると冷える塗料開発の香港企業

アジア・アントレプレナーシップ・アワード(AEA)運営委員会は2023年10月26日、イノベーション・アワード「AEA2023」をオンラインで開催した。AEAの開催は今回が12回目となる。 

2012年より毎年開催しているアワードで、今回は世界において注目度の高い4つのテーマ「ライフサイエンス / ヘルスケア」「モビリティ」「環境 / エネルギー」「サステナビリティ」に関連したソリューションを持つ、日本を含めたアジア各国・地域の技術系スタートアップが参加した。今年は一般公募に加え、柏の葉スマートシティにおける事業実証のサポートが受けられる「柏の葉賞」を設けたことにより、例年に増して国内外の多様なスタートアップの参加が実現した。

2023年の優勝企業には 香港のI2Cool社が選ばれた。I2Coolは香港城市大学の「香港TECH300」プログラムが支援する技術スタートアップ企業。同社の独自技術「iPaint」は太陽光の反射と熱放射に優れ、冷媒なしで塗布対象の温度を下げられる。省エネと脱炭素化へ貢献する高性能塗料であり、香港、中国本土、米国で特許を取得している。国際展示会「ジュネーブ国際発明展」でも表彰されている。この塗料を用いて、カーボンニュートラルの実現とGXの実施を目指している。 

第2位に選ばれた企業は、日本の株式会社Yanekara (千葉県柏市)。電気自動車(EV)の充放電技術を軸に、再生可能エネルギーの大量導入に不可欠な電力需給調整システムを提供する会社だ。太陽光エネルギーでEVに電力を供給かつ蓄電可能な最先端の双方向EV充電器と、数千台のEVの充放電タイミングを制御するクラウドソフトウェアを開発している。EV充放電におけるハードウェアとクラウドシステムを一気通貫で開発し、複数台のEVに特化した拡張性の高い充放電システムを社会実装することで、電気とモビリティをローカルで自給自足できる世界の実現を目指す。 Yanekara は柏の葉賞など他の賞も受賞した。

第3位にはシンガポールの Castomize Technologies社が選ばれた。同社は高度な製造技術とカスタマイズされたポリマーを使用した、患者や医療従事者にとって快適性、利便性、効率性を追求した4Dプリントギプスを開発している。同社の4Dプリント整形外科用ギプスは使い捨ての道具が少なく、患者の治癒過程を通じて再成形が可能であるため、より持続可能な製品である。4Dプリンティングの領域知識を活用し、パッケージング、高度製造、その他の医療機器などの産業によい影響を与えることを目指している。

AEA20231st

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