COP30がブラジルで開幕 大統領が迅速な気候変動対応を求める

国連気候変動枠組み条約第30回締約国会議(COP30)が2025年11月10日、ブラジル・ベレンで開幕した。アマゾン地域で初めて開催される世界気候変動会議として、2週間にわたり各国首脳や政策担当者が気候変動対策について協議する。ブラジルのルーラ大統領は開会式で「私たちは正しい方向に進んでいるが、そのスピードは間違っている」と警告し、コミットメントから行動への転換を強く求めた。

ルーラ大統領はCOP30交渉の指針として3つの行動の柱を提示した。第1が、既存の気候コミットメントの履行、第2がグローバルガバナンスの強化、第3が気候関連決定の中心に人々を置くこと。また、国連総会と連携した世界気候理事会の創設を提唱し、各国間の調整と政治的説明責任の強化を訴えた。「気候変動はもはや未来の脅威ではなく、現在の悲劇だ」と述べ、科学的根拠を否定する動きに対抗する必要性を強調した。

COP30のアンドレ・コレア・ド・ラーゴ議長は、今回の会議が「コミットメントを結果に変えるCOP of Action」として記憶されるべきだと述べ、パリ協定実施の10年間の始まりを告げる歴史的な転換点と位置づけた。国連気候変動枠組条約のサイモン・スティール事務局長は「再生可能エネルギーはすでに石炭を上回り、世界の主要エネルギー源となっている。今こそ野心を具体的な行動に変える時だ」と指摘した。

また、アマゾンでの開催について、ルーラ大統領は「政治的かつ象徴的な決定」と説明。400の先住民族を含む約5000万人が暮らす巨大な生態系であるアマゾンが、単なる議論のテーマではなく気候変動解決の不可欠な地域であることを世界に示す狙いがある。アゼルバイジャンで昨年開催されたCOP29のムフタル・ババエフ議長からリーダーシップを引き継ぎ、ブラジルは「実施の新時代」を主導する役割を担う、と意気込みを述べた。