創業50年のうどん屋が新規事業に挑む 既存商品を改良し販売数が5倍に

(※本記事は「協働日本」に2024年7月24日付で掲載された記事を、許可を得て掲載しています)

協働日本で生まれた協働事例をご紹介する記事コラム。実際に協働日本とプロジェクトに取り組むパートナー企業の方をお招きし、どのようにプロジェクトを推進しているのか、インタビューを通じてお話を伺っていきます。

今回は、株式会社味一番フードの代表取締役専務の村上良一氏にお越しいただきました。株式会社味一番フードは石川県の創業約50年のうどん・蕎麦を中心とした飲食業を営む老舗企業です。

最初は約8坪の小さなうどん屋さんとしてスタート。その後、ショッピングセンターへの出店が1つのきっかけになり、郊外型独立店の展開やチェーン展開と裾野を広げ、現在は石川・富山で9店舗を運営されています。

コロナ禍を通じて感じた飲食店業態の脆さから、飲食店の運営以外の新たな事業の開拓や柱作りの必要性を感じたという村上氏。その新規事業への挑戦に協働プロが伴走しました。

インタビューを通じて、協働プロジェクトに取り組みはじめたことで生まれた変化や得られた学び、これからの期待や想いについて語って頂きました。

(取材・文=郡司弘明・山根好子)

株式会社味一番フードの運営する飲食店「めん房本陣」
株式会社味一番フードの運営する飲食店「めん房本陣」

飲食店だけでない新たな柱作りを。商品開発にもがく中で得た、運命の出会い。

ーー本日はよろしくお願いいたします。はじめに、協働を決めたきっかけを教えていただけますか?

村上良一氏(以下、村上):はい!よろしくお願いいたします。

ちょうどコロナ禍に入った頃、皆さんご存知の通り飲食業界は大打撃を受けました。安心して外に出られる世の中でなければ、わざわざ外食する機会もないのだと改めて気づき、飲食店の経営という業態の脆さを感じることになりました。

とはいえ、自分たちにとって「飲食店」は主たる事業ですし、今後も弊社の柱であることには変わりません。一方で会社としての安定的な経営、成長を考えると、飲食とはまた違った新たな事業の開拓と新たな柱づくりに取り組まなくてはならないと危機感を覚えました。

そこで、自分たちの長所を掛け合わせた新たな取り組みとして、まずはお店をご利用いただくお客様に商品を販売してみてはどうかと物販を始めたものの、売れ行きはあまり芳しくありませんでした。

商品開発や物販は自分たちにとって未知の領域でしたので、やはり専門人材の知見やアイディアなど力を借りる必要があると思っていたところ、石川県が主催する「複業人材の活用セミナー」のお知らせが目に入りました。

元々、複業人材の取り組み自体は新聞などで読んで興味を持っていたんです。

都市部で頑張っている方々の知見を頂きながらの取り組みは、ローカルにありがちな広い視野や専門性に特化した人材・コンサルタントが少ないという現状をカバーすることができ、会社の課題を解消していくために面白い取り組みだと思っていたので、セミナーに参加することにしました。

ーーなるほど。実際に協働日本の取り組みについての話を聞いていかがでしたか?

村上:実際にお話を聞いてみると、協働日本代表の村松さん、そして協働日本自体が、非常に熱い想いを持っていたことに魅力を感じました。どんな仕事でもパッションを持っていないとうまく行かない側面があると思っていたので、弊社の想いに共感していただけそうだと感じました。

協働日本は協働プロがチームを組んでプロジェクトに参画するという点も魅力的でした。他にも複業人材のコンサルティングサービスを提供する企業と比較検討したのですが、いずれも、個人がプロジェクトを担当するという取り組み形態でした。

協働日本は様々な得意分野を持つ協働プロが、プロジェクトの目的や状況によって入れ替わることもあるともお聞きし、コロナ禍以降の柱づくり、物販のノウハウ・開発と幅広く、中長期的に取り組みたいと思っていた弊社にとってはメリットや効果が大きいと思い、協働を決めました。

今となっては、たまたまセミナーを主催する石川県の担当の方との繋がりがあったことすら、一つの運命だったように思います(笑)。

味一番フードの代表取締役専務・村上良一氏

自社の強み・お客様と向き合う──家族団欒のイメージでブラッシュアップした商品の販売数は約5倍に。

ーー協働がスタートしてからはどのようなプロジェクトが進んでいるのでしょうか?

村上:先ほどお話しした通り、新しい事業の柱を作るための商品開発や店頭での物販についてのプロジェクトを進めています。

協働プロとしては、枦木優希さん、松尾琴美さん、加藤奏さんの3名に伴走していただいています。弊社からは、私の他に物販全般・販促などの担当者と、実際に商品を開発製造する製造部門の担当者が毎週のセッションに参加しています。

一番最初に概念的な戦略・コンセプトを考えるセッションからスタートし、その後考えたコンセプトに対してどんな商品にできるかという商品開発に取り組み、コスト計算など数値的な設計や販売計画を作成、販売開始という流れでプロジェクトが進んでいきました。

ーーなるほど。ぜひ順を追って、具体的な内容を教えていただけますか?

村上:はい。コンセプト設計では、「自社の強み」「どんなお客様がいらっしゃるのか」「ニーズ」などをはじめ、概念的なことを整理していきました。

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