AI×3Dアバターで精神疾患を治療する新システム 開発途上国の専門家不足を解消

(※本記事は『SciDev.net』に2024年10月24日付で掲載された記事を、許可を得て掲載しています)

3Dでできた坊主頭の男性の顔が並ぶコンピューター画面
精神疾患で幻聴が聞こえる患者向けのAIを利用したセラピーにおける、患者が対話するアバターの顔を選ぶ画面。引用元:Extended Data Fig. 2 "Digital AVATAR therapy for distressing voices in psychosis: the phase 2/3 AVATAR2 trial" Nature Medicine (2024)

インドとエチオピアで、幻聴が聞こえる患者向けにAIを活用したデジタルアバターを使った治療が試験導入される予定だ。研究者たちは、貧困率が高い地域でも効果的にメンタルヘルス治療を利用できるよう、適応させることを目指している。

慢性疾患への資金提供を行う慢性疾患国際アライアンス(GACD)によると、世界中で約10億人がメンタルヘルス疾患を抱えており、その大多数が開発途上国に住んでいるとされる。

しかし、そうした人々の多くは精神的な治療を受ける手段がほとんどない。2020年の世界保健機関(WHO)「メンタルヘルスアトラス」によると、ヨーロッパ地域のメンタルヘルス専門家の数は、アフリカ地域の平均の40倍に上るという。

2024年10月28日に発表された臨床試験「Avatar 2」では、セラピストと協力して制御された環境でアバターと対話することで、幻聴患者の苦痛を軽減できるという結果が示された。なおこの試験は医療研究財団「ウェルカム」の資金提供を受けて実施されたものだ。

しかし、アバター療法はセラピストが音声変換ソフトウェアを操作する必要があり、セラピストの数が限られている国では導入が難しい状況にある。

試験を主導したロンドン大学キングス・カレッジのトーマス・ワード博士は、記者向けのオンライン会見で次のように語った。

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