ispace 大型の月着陸船打ち上げ計画を26年に延期
ispace(月刊事業構想2023年10月号参照)は、2023年9月28日、月着陸船開発計画の変更を発表した。米国においてはこれまで子会社を通じて活動していたが、新たに米コロラド州デンバーに米国本社を開設するとともに、2025年に予定していたミッション3の打ち上げを2026年に変更する。
新米国本社では、ミッション3に向けたランダー(月着陸船)の開発を継続するとともに、将来はランダーの製造も可能となる施設を増強した。ミッション3の打ち上げ延期の背景には、同ミッション用の新ランダーである「APEX1.0ランダー」の設計の変更がある。以前から開発していた新ランダーは現行のランダーの10倍以上、300kg以上の荷物を輸送可能な設計だ。
iSpaceは米航空宇宙局(NASA)の商業月面輸送サービス(CLPS: Commercial Lunar Payload Services)に採択され、NASAの依頼のもと、科学研究に用いる貨物を月周回軌道と月の裏側へ輸送することになっている。今回の変更に伴うAPEX1.0ランダーの機能強化により、慎重な取り扱いが必要な貨物の輸送に対応することが可能になるという。なお、現行のランダーを使用するミッション2は予定通り2024年の打ち上げを計画している。
計画の延期に伴い、iSpaceは2023年度の売上高予想を、当初より31億4600万円減となる30億5000万円に下方修正した。今回の減少の9割以上が、ミッション3のペイロードサービスの売り上げ計上のタイミングが翌期以降に繰り延べられたことによるものと同社では説明している。
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