英国の「メガパブ」で朝食も仕事も飲み会も 飲食・小売業界で多機能空間がトレンド

(※本記事は『THE CONVERSATION』に2024年9月24日付で掲載された記事を、許可を得て掲載しています)

グラスを持って乾杯している何人かの手

ロンドンのウォータールー駅に新たに登場したのは、Wetherspoons(ウェザースプーン)による巨大な新パブ「ザ・ライオン&ザ・ユニコーン」である。このいわゆる「スーパー・スプーンズ」は、英国の飲食業界で進行中のトレンドの一部であり、大規模な店舗が従来の体験を再構築しつつある。

広さ約500平方メートル、座席数600席を誇るこの店舗の開店により、コメンテーターの中には「メガパブ時代」の到来と見る向きもある。この時代、チェーンのパブにとって「大きいことは良いこと」という考えが支持されつつある。

メガパブの狙いは、ただ一杯のビールを提供するだけではなく、朝のコーヒーやビジネスランチから夕食、さらにはライブエンターテイメントまで、多様なニーズに応えることを目指している。広い座席、豊富なメニュー、社交や仕事に適した専用スペースの導入により、幅広い客層を引き寄せる工夫がされている。

こうした「オールインワン」体験を提供するメガパブは、従来型のパブとは一線を画す存在であり、単なるパブではなく「目的地」としての位置づけを狙っている。

ウェザースプーンのビジネスモデルに従い、新しいメガパブは手頃な価格で飲食を提供しており、価格を重視する顧客にとって利用しやすい場になるだろう。多様な体験を一か所で提供することで、利便性、バラエティ、そしてお得感を求める顧客を引き寄せ、さらに地域コミュニティとの一体感も感じられる工夫が凝らされている。

メガパブによる飲食業界への影響は?

メガパブの出現がもたらす懸念のひとつは、小規模で独立系のパブやレストランへの影響である。過去10年間、供給コストの上昇や経費の増加に苦しむパブは閉店の波に直面してきた。また、若年層の間ではアルコールを控える傾向も広がり、伝統的なパブへの需要が減少しつつある。

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