和歌山製人工衛星の打ち上げへ アークエッジ・スペースと6企業が新会社設立

宇宙スタートアップのアークエッジ・スペースと和歌山の企業6社が共同出資で設立した新会社、株式会社WALL(和歌山県和歌山市)は2025年12月22日、和歌山大学と「宇宙産業人材の実践的育成手法の研究」に関する共同研究契約を締結したと発表した。両者は、2028年に「和歌山で作られた人工衛星」を和歌山県内から打ち上げることを中長期目標に掲げており、今後は人工衛星の設計・製造・運用を題材とした実践的な研究を通じて、人材育成と産業創出を同時に進めていく。

WALLは、超小型人工衛星の設計・製造・運用を手がけるアークエッジ・スペースと6社の企業が設立した、宇宙産業を担う人材の育成と企業の基盤づくりのための民間主導の宇宙産業プラットフォーム。宇宙スタートアップと地域企業が対等な立場で資本参加し、研究、人材育成、実装、事業化までを一体的に進める地方発・民間主導の宇宙産業プロジェクトは、全国的にも例のない取り組みとなる。

WALLでは、人工衛星を単なる製品ではなく、宇宙産業に必要なスキルを実践的に獲得するための総合的な学習・実装テーマとして位置づけている。和歌山県串本町には、民間ロケット射場「スペースポート紀伊」が整備され、人工衛星の製造から打ち上げまでを地域内で捉えられる環境が整いつつある。WALLは、この地理的・産業的ポテンシャルを活かし、2028年に和歌山で製造した人工衛星を県内から打ち上げることを目標にしている。

WALLは今後、エコシステムのさらなる拡大を見据え、設立時の出資企業に限らず、和歌山県内企業をはじめ、取り組みに関心を持つ企業からの出資参画を積極的に受け入れていく方針。地域企業が主体的に関わり、産官学で価値を共創することで、地域や産業の現場ニーズを踏まえた宇宙技術の活用や関連サービスの実装を推進していく。