アフリカにおける電気自動車市場:成長に必要な要素は?
(※本記事は『THE CONVERSATION』に2024年11月7日付で掲載された記事を、許可を得て掲載しています)
サハラ以南アフリカでは、自動車の排気ガスが高レベルのPM2.5汚染を引き起こし、健康被害や発育不全、さらには死亡に至る事例を招いている。この排気ガスは地球温暖化の主な原因の一つでもある。
電気自動車(EV)はこのような問題を解決するかもしれないが、同地域では普及が遅れている。最大経済圏の南アフリカなどでも、2022年時点で登録された電気自動車はわずか1,000台にすぎなかった。
我々はサハラ以南アフリカにおける電気自動車と道路貨物輸送の研究に注力する、輸送・物流分野を専門とするエンジニアだ。我々の研究では、この地域で電気自動車がどう排出量削減に寄与するかや、輸送網の電化を阻む要因について考察している。
電気自動車の普及が進まない理由の一つは、その価格が高いことにある。また、航続距離が短く充電時間が長いため、長距離移動や高頻度の運行には問題である。
さらに、各国が充分なグリーン電力を発電・配電できる体制が整っていないことも、自動車の電動化を阻害する要因になっている。この地域の電力供給の半分以上は化石燃料に依存しているため、化石燃料で発電した電気で電気自動車を動かしても、必ずしも排出量が減るとは限らない。
それでも、電動バイクや小型公共交通車両の導入は既に進行中だ。これらが現地でクリーンエネルギーを活用して製造されれば、地域経済に大きな恩恵をもたらすだろう。
電動モビリティへの道のり
電動モビリティへの移行にはクリーンエネルギーの供給が必要であり、すなわち電力インフラへの投資が必要だ。例えば、充電ステーション自体の普及は早く、南アフリカでは既に電気自動車5台につき1基の割合で存在し、この比率はイギリスの20台につき1基を大きく上回る。しかし、充電ステーションは電気自動車が必要としたタイミングで電力を供給しなければならず、かつ信頼性の高い再生可能エネルギーで充電された大容量バッテリーシステムを備えなければならないが、そんなバッテリーシステムは未だ開発中である。
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