黒字倒産はなぜ起こるのか 原因・対策から赤字倒産との違い、企業事例まで解説
(※本記事は日本M&Aセンターが運営する「M&Aマガジン」に2024年11月27日付で掲載された記事を、許可を得て掲載しています)
東京商工リサーチの調査によると、2023年の倒産企業(586社)の赤字企業率は、直近決算(最新期)で68.0%と約7割を占めます。一方で、相応の自己資本を有していても、短期的に資金がショートし黒字倒産に陥る企業も増えています。本記事では黒字倒産に陥る原因や対策、事例についてご紹介します。
黒字倒産とは
黒字倒産とは、企業が利益を上げている(黒字)にもかかわらず、決済資金が不足して支払いが滞り、倒産することを指します。
例えば、製品の販売で利益を出していても、顧客からの支払いが遅れる、あるいは在庫を大量に抱えて手元の資金が不足し、仕入れや人件費などの支払いができず、最終的に経営が行き詰まるケースなどが該当します。
黒字倒産と赤字倒産の違い
赤字倒産は経営不振で赤字が続いた結果、倒産に至ることを指します。そのほか混同しやすい言葉に「黒字廃業」があります。黒字廃業は、利益を上げているにもかかわらず、後継者不在などを理由に「経営者が自らの判断で事業を終了する」点で異なります。
黒字倒産が起こる原因
黒字倒産の直接的な要因は、端的に言えば「入出金のタイムラグ」ですが、過剰な在庫や設備投資なども要因に挙げられます。ここでは黒字倒産に陥る主な要因をご紹介します。
売掛金の未回収
企業は売上があってもすぐに現金が手元に入るわけではありません。商品やサービスの提供後に売上が発生したものの、未回収の状態にある代金が売掛金であり、法人間の取引では、一定の期日にまとめて支払いを依頼することが一般的です。
この売掛金の回収が遅延、もしくは回収不能になると、当然ながら企業の資金繰りが悪化し、売上が立っているにも関わらず倒産に至る可能性が高まります。
過剰在庫
過剰在庫は、保管などの費用の負担や、在庫処分のための値引きが資金繰りを悪化させます。また、例えばトレンドに商品・サービスが影響されやすい業界では、長期保管する在庫商品が売れ残り、資金が回収できないリスクが高まります。こうした過剰在庫は、製造業や小売業、販売業において特に注意が必要です。
過度な投資
無理のない範囲で適切な投資を行うことは、長期的な企業成長に不可欠である一方、過度な投資は、黒字倒産が発生する要因につながります。特に大型の設備投資を計画する場合には、資金繰りの管理に注意が必要です。
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