全国トップ拠点を生んだ組織改革 品質保証企業 オメガテクノの挑戦

(※本記事は「協働日本」に2026年5月27日付で掲載された記事を、許可を得て掲載しています)

オメガテクノ株式会社 栃平秀典氏 “事業”と“人”の両輪が進化。品質保証の「最後の砦」をさらに思考する組織へ

協働日本で生まれた協働事例を紹介する記事コラム「STORY」。

本連載では、協働日本とプロジェクトに取り組むパートナー企業の方をお招きし、どのように意思決定し、プロジェクトを推進しているのかをインタビューを通じて伺っていきます。

全国展開する品質保証業務代行会社・オメガテクノが抱えていたのは、経営視点や意思決定が属人的になりやすいという壁でした。協働プロとワンチームで伴走する中で、マネージャー層が自ら考え、提案し、組織を動かす主体へと変化。その成果の一例として、低空飛行だった営業所が全国16拠点のトップへ躍進するなどの変化が生まれます。変わったのは数字だけでなく、品質保証を“作業”ではなく“企業の信頼を支える仕事”として捉え直し、モビリティ産業変革を支える品質インフラ企業へ進化しようとする組織の視座でした。

今回は、品質保証業務のアウトソーシングを手がけるオメガテクノ株式会社 代表取締役の栃平秀典氏にお話を伺いました。

製造業における品質保証は、単なる工程の一部ではありません。製品が市場に出る直前、あるいは納品後に発覚する不具合にどう向き合うかは、企業の信頼そのものに直結する重要なテーマです。オメガテクノは、そうした品質課題に対して、全国16拠点・対応率98%という高い現場対応力を強みに、製造業の「最後の砦」として存在感を高めてきました。

一方で、創業から成長を重ねる中で見えてきたのが、オーナー社長としての強い意思と引き換えに生まれやすい“視野の偏り”や、組織として深く考える力をどう育てていくかという課題でした。協働日本との取り組みを通じて生まれたのは、単なる業務改善ではなく、「考え方が変わることで、組織が変わり、数字が変わる」という本質的な変化でした。

品質保証業務を「選別」ではなく「信頼を守る仕事」と再定義し、現場力だけでなく思考力と組織力を磨いてきたオメガテクノ。なぜ協働日本と取り組むことを決め、何が変わり、これからどこを目指していくのか。その背景と実感を、率直に語っていただきました。

(取材・文=郡司弘明)

作業風景

“選別業者”ではなく、“品質保証業務代行サービス”として業界に切り込んだ

── 本日はよろしくお願いいたします。まずは、オメガテクノさんの沿革と現在の事業について教えてください。

栃平秀典氏(以下、栃平):よろしくお願いします。私は2014年に同業他社から独立して、オメガテクノを立ち上げました。もともとこの業界には長くいましたが、立ち上げのきっかけになったのは、CS、つまりカスタマーサティスファクションへのこだわりです。

この業界では一般的に「選別業者」と呼ばれることが多いのですが、私はその呼び方に少し違和感がありました。もちろん、検査や選別という機能は担っていますが、本質はそこだけではない。私たちが向き合っているのは、品質そのものに対するお客様の信頼だと思っていたんです。

そこで、自分たちの事業を「品質保証業務代行サービス」と定義しました。製造工程の途中で見つかる不具合ではなく、完成後、納品後に見つかる品質問題に対応する。いわば、最後の局面で品質を守る仕事です。そこに本質的な価値があると思って、この業界に自分なりのやり方で切り込んでみたいと考えたのが独立の出発点でした。

── 現在は、どのような形で事業を展開されているのでしょうか。

栃平:主力は品質保証業務の代行です。完成品として納品された後に見つかる不具合に対して、検査や選別、必要に応じた対応を行っています。現在は日本全国に16拠点を展開していて、対応率は98%です。ほぼすべてのお客様のご要望にお応えできている状態だと思っています。

私たちの特徴は、クイックなレスポンスと、マンパワーに対する対応力です。たとえば「この現場に、今すぐこれだけの人数が必要だ」と言われたときに、品質を落とさず、瞬間的に人を出すことができる。これが大きな強みになっています。

── その“瞬間的に人を出せる”というのは、この業界ではかなり大きな違いなのでしょうか。

栃平:大きいと思います。人を出すだけならできる会社もあるかもしれませんが、品質を維持したまま、必要な人数を即座に供給するとなると、簡単ではありません。そこは完全に仕組みで実現している部分です。詳しくは企業秘密ですが、属人的な頑張りではなく、再現性を持った形でオペレーションできるようにしています。

売上の約80%は自動車関連ですが、それ以外にも重機、建機、鉄道、航空、宇宙、医療、食品など、幅広い分野からご依頼をいただいています。製造業の品質課題という意味では、対象はかなり広いですね。

社屋外観

品質は“コスト”ではなく“企業の信頼”。オメガテクノが守ろうとしているもの

── 品質保証という仕事を、どのように捉えていらっしゃいますか。

栃平:品質は、単なるコストではないと思っています。企業にとっての信頼そのものです。実際、不具合が市場に出てしまえば、その影響は製品だけに留まりません。ブランド、取引先との関係、将来的な受注、すべてに関わってきます。

だからこそ、私たちの仕事は「検査をすること」だけでは終わりません。お客様が守りたい信頼を、最前線で支えることに意味がある。その意味で、私たちは“最後の砦”だと思っています。

会社としても、費用対効果の追求や、顧客満足と社員満足の両立、人材育成、継続的な改善などを重視してきました。品質に向き合う会社である以上、自分たち自身も改善し続けなければいけない。そういう考え方は、創業時からずっと変わっていません。

世界とつながる品質保証。グローバルネットワークが生む新しい価値

── オメガテクノさんの特徴として、グローバルネットワークのお話も印象的でした。そのあたりも教えてください。

栃平:今の製造業は、部品調達が完全にグローバル化しています。たとえば日本の自動車メーカーであっても、国内だけで部品をまかなっているわけではありません。イタリアやドイツ、中南米やアジアなど、世界中から部品が届いています。

そうした中で、日本国内で不具合が見つかった場合、責任の所在は海外の部品メーカーにあるとしても、現実にはすぐに対応できないケースが多いんです。日本のメーカーからすると、品質問題は今この瞬間に解決しなければいけない。でも、海外のメーカーはすぐには来られないし、現場もわからない。その間を埋める存在が必要になります。

そこで私たちのグローバルネットワークが活きてきます。現地や国内で必要な検査対応を行い、その結果を迅速にフィードバックする。逆に、日本の部品メーカーが海外に輸出した製品に不具合が起きた場合も、現地で検品対応を行い、日本側へ戻すことができます。

── それは、今後の事業にとっても大きな可能性になりそうですね。

栃平:はい。私はこの分野が今後かなり伸びると思っています。たとえば、日本のメーカーさんがタイやインドネシア、中国に部品を出しているケースでも、現地でトラブルが起きたとき、どこに頼めばいいのか、相場はいくらなのか、どうやって現地とやり取りすればいいのか、わからないことが多いんです。

そのときに、オメガテクノに連絡をいただければ、日本語で一括して対応できる。現地での手配も、品質確認も、フィードバックも含めて対応できる。これは大きな利便性だと思っています。

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