社員の「リベンジ退職」を防ぐ職場づくりの5つのポイントとは 企業の成長力にも
(※本記事は『THE CONVERSATION』に2025年2月9日付で掲載された記事を、許可を得て掲載しています)

職場における長年の問題である不適切な扱い、有害な行動の常態化、職場文化に対する責任の欠如が、「リベンジ退職」と呼ばれる新たなトレンドを加速させている。
この現象は2000年代以降に顕著となっており、単により良い仕事を求めて退職するのではなく、不公平な扱いへの抗議や自己防衛の手段として退職するケースを指す。
かつては、経済的な破綻への恐れ、社会的なレッテル、そして個人の尊厳よりも安定した雇用を優先する価値観が、こうした状況下でも退職を踏みとどまらせる要因となっていた。しかし、これまでにない格差の拡大や地政学的リスクの高まりを背景に、リベンジ退職やそれに類する行動は増加している。
この問題に真剣に取り組む企業にとって、得られるメリットは大きい。ただし、単なるダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン(DEI)や人事戦略の枠を超えた取り組みが求められる。社員が「ここにいていい」と心から感じられる職場文化を構築することで、エンゲージメント向上と企業の持続的な成長につながるのである。
リベンジ退職がもたらす影響
社員が職場の有害な環境に対する抗議の最終手段として退職する場合、企業への影響は甚大である。最も明らかな影響は、財務的損失である。突然の退職により、採用や研修コストが発生するだけでなく、生産性の低下やプロジェクトの中断も避けられない。
さらに、経験豊富な社員が退職することで、企業は貴重な知見やスキルを失い、イノベーションや事業継続性、長期戦略にも悪影響を及ぼす。
また、こうした突然の退職は、残された社員に強いメッセージを与える。これにより、士気の低下、信頼関係の崩壊、エンゲージメントの低下を招く可能性がある。

リベンジ退職の中には、広く報道されるケースもあり、企業の評判に傷がつくことがある。それが顧客との関係や投資家からの信頼にも悪影響を与えかねない。
最後に、リベンジ退職は職場文化にも長期的なダメージを与える。退職に至った有害な行動が改善されない限り、残った社員のモチベーションは低下し、仕事の質も悪化する可能性が高い。
リベンジ退職を防ぐために
筆者の研究によれば、社員が本当の意味で「所属している」と感じられる職場では、エンゲージメントや忠誠心が高まり、より創造的で革新的なアイデアが生まれやすくなる。また、信頼性や生産性も向上することがわかっている。
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