アデコ、2030年に向けた成長戦略を発表 「未来共創人財プロジェクト」始動

総合人財サービスのアデコ株式会社は2025年11月26日、2030年に向けた中長期事業戦略および新たな人財育成プロジェクトの発表会を開催した。同社は、2030年のビジョンとして「Making the Future Work for Everyone」の実現を掲げ、従来の「人財派遣」から「キャリア開発と雇用創造」へと事業領域を拡大・進化させる方針を打ち出した。

アデコ株式会社の平野健二社長

今回の戦略発表における中核施策の一つとして、「未来共創人財プロジェクト」が発表された。このプロジェクトは、人手不足が喫緊の課題である中、働く人々が自分らしくいきいきと活躍できるよう、仕事の未来に向けて人財とともに歩み、応援するもの。多様化する人財、人財と共に共創する企業や社会を支援することで、「Making the Future Work for Everyone」の実現を目指していく。

アデコは2030年のビジョン実現に向けた成長戦略として、複数の柱を提示した。まず、派遣ビジネスの強化として、「キャリアコーチ」や教育等による派遣社員向けキャリア支援の強化を進めるほか、「カルチャーフィット」の更なる推進によりエンゲージメント向上を図る。また、事業プロセスにおけるAIエージェント等の活用も推進する。アウトソーシング事業の強化としては、官公庁・自治体向けサービスを拡大し、政策提言やプロジェクトデザインからの参入により社会課題解決を図る。さらに、外国人財ビジネスの拡大にも注力し、多様な就業機会の提供だけでなく、日本語能力・キャリア開発支援、生活支援までを包括的にサポートする環境を構築する。

加えて、技術者派遣事業の強化とリスキリングの推進も重要な戦略となる。グループブランドである「AKKODiS」のテックタレント事業を2026年1月に統合し、事務系職種からのリスキリングやアップスキリングを促進することで、成長分野への労働移動を加速させる方針だ。アデコの平野健二社長は、AI時代だからこそ人間らしい働き方や価値創造が問われているとし、働く人々の躍動と企業の業績向上を両立させ、社会全体の幸せに貢献していきたいと語った。