COP30閉幕 パリ協定10周年、「グローバル・ムチラオ決定」採択
2025年11月10日から22日にかけ、ブラジル・ベレンで開催された国連気候変動枠組条約第30回締約国会議(COP30)が閉幕した。パリ協定採択から10周年となる節目の会議では、「グローバル・ムチラオ決定」を含む包括的な合意文書「ベレン・ポリティカル・パッケージ」が採択された。
「ムチラオ」はポルトガル語で「共同作業」「協働」を意味する。今回採択された決定は、パリ協定10周年、交渉から実施への移行、実施・連帯・国際協力の加速を3本柱とし、緩和や資金など分野横断的な内容を盛り込んだ。
今回の決定では、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が提供する科学的知見に基づき、1.5℃目標(世界の平均気温の上昇を産業革命以前に比べ1.5℃以内に抑える)達成に向けた取組の加速を呼びかけた。温室効果ガス削減目標(NDC)未提出国には早期提出を促すとともに、COP29・30・31議長国の下で「Global Implementation Accelerator」と「Belém Mission to 1.5」を立ち上げ、各国のNDC実施を支援する枠組みを整備した。
自国のみの判断で貿易に対して制裁措置を発動する「一方的な貿易制限的措置」については、国際協力強化の機会や課題を検討するため、2026年から28年にかけて国際貿易センター(ITC)、国連貿易開発会議(UNCTAD)、世界貿易機関(WTO)を含めた対話を開催し、2028年にハイレベルイベントを実施することが決定した。欧州の炭素国境調整メカニズム(CBAM)などを念頭に、今後の国際的な議論の行方が注目される。
気候資金については、2024年のCOP29で合意した新規合同数値目標(NCQG)の実施に向けたハイレベル閣僚級ラウンドテーブルの開催が決定。適応資金を3倍にする努力を呼びかけるとともに、気候資金に関する2年間の作業計画の立ち上げも決まった。
日本政府代表として参加した環境大臣の石原宏高氏は、ナショナルステートメントで2050年ネット・ゼロへの決意を改めて表明。1.5℃目標達成に向けたな新たなNDCを提出したことを発信し、2国間クレジット制度(JCM)等を通じた取り組みの進展をアピールした。
会場に設置されたジャパンパビリオンでは、日本企業9社による再生可能エネルギー、省エネ、衛星データ利活用、廃棄物再生利用などの技術を展示。20カ国以上の閣僚級が視察に訪れ、日本の脱炭素技術への関心の高さを示した。石原氏は「日本の気候変動対策イニシアティブ2025」を発表し、IPCC総会の日本誘致や2027年の国際園芸博覧会(GREEN×EXPO 2027)への参加を呼びかけた。
注目された一方的な貿易制限的措置については、国際協力強化の機会や課題を検討するため、2026年から28年にかけて国際貿易センター(ITC)、国連貿易開発会議(UNCTAD)、世界貿易機関(WTO)を含めた対話を開催し、2028年にハイレベルイベントを実施することが決定した。欧州の炭素国境調整メカニズム(CBAM)などを念頭に、今後の国際的な議論の行方が注目される。
次回COP31は2026年にオーストラリアで開催される予定。パリ協定の「実施」フェーズが本格化する中、各国の具体的な取り組みが問われることになる。