ラクスル 中小企業向けBaaS「ラクスルバンク」開始

企業向けに印刷・広告サービスを提供するラクスルの100%子会社であるラクスルバンクは2025年11月26日、オンラインベースの中小企業向け金融プラットフォーム「ラクスルバンク」のサービスを正式に開始した。GMOあおぞらネット銀行との提携によりBaaS(Banking as a Service)として、手数料を抑制し利便性の高いサービスを提供する。

銀行の個人向けサービスでは手数料の高低などで競争が起きているが、法人向けサービスは融資など他の事業者向け金融機能とも紐づいているために、サービス内容への注目が低かった。ラクスルバンクの主な特徴は、他行宛て振込手数料を1件あたり税込119円と設定した点だ。既存の店舗型金融機関の手数料と比較して約40%以上のコスト削減が可能になるという。入出金は24時間365日リアルタイムで反映される。

法人口座の開設はオンラインで完結し、最短で申込当日から利用可能。発行手数料・年会費無料のデビットカードは、決済額の2.0%をポイント還元する。獲得したポイントはラクスルの印刷・広告・ホームページ制作などのサービスに1ポイント1円で利用できる。

ラクスルグループは印刷や広告などの事業を通じて中小企業と向き合う中で、「金融にまつわる手間やコストが企業の成長を妨げている」という課題を認識。経営者が本業に集中できる金融サービスを、GMOあおぞらネット銀と協力して開発した。GMOあおぞらネット銀は、事業会社が自社サービスに金融機能を組み込む「エンベッデッドファイナンス」(月刊事業構想2022年12月号参照)向けに設計したAPIシステムを提供しており、今回の連携はそれが決め手になったという。

ラクスルバンクでは今後、法人クレジットカードの提供、請求書の後払い機能やファクタリングサービス、運転資金・設備投資向けの融資など、サービスを順次拡充する計画だ。外貨送金を含むあらゆる金融取引の摩擦を最小化し、中小企業の多様な資金需要に対応することを目指す。