天地人 将来の地域インフラ維持へAIを活用、イベント開催
JAXA認定の宇宙ベンチャー・天地人が運営する実行委員会は、2026年2月18日、東京・丸の内のTokyo Innovation Base(TIB)で「地方自治体インフラAXサミット 2026」を開催した。267名が参加し、省庁、自治体首長、大学研究者、民間企業が講演した。製造業、公共・行政、サービス、水道、道路、宇宙、モビリティ、不動産、教育と多岐にわたる領域から参加者が集まり、インフラ維持管理への関心の高さが浮き彫りになった。
基調講演では内閣官房の吉田宏平氏(デジタル行財政改革会議事務局次長)、国土交通省の小林正典氏(総合政策局社会資本経済分析特別研究官)が発表し、人口減少下においてインフラを維持するためのモデル変革、群マネジメントの実装や官民連携の重要性を訴えた。自治体の首長も登壇し、豊田市の太田稔彦市長は、総延長3700kmに及ぶ水道管路の維持への危機感を語りつつ、産官学連携のもと80件以上の実証実験を推進してきた実績を紹介した。磐田市の草地博昭市長は、天地人の衛星データ活用サービス「宇宙水道局」(月刊事業構想2025年11月号参照)の導入によって、調査区域の40%で漏水を発見し、従来比6倍の発見率を達成した成果を報告した。
大阪大学大学院の貝戸清之教授による特別講演では、確率統計学に基づく劣化予測で、大阪市の下水道コンクリート管5万本を分析した事例が紹介された。それによると、一般に「50年」とされるインフラの寿命が、実際には平均85.9年に達するという。また、劣化予測でAIが真価を発揮できる分野として、まだメカニズムが解明しきれていない自然斜面や地下構造物を挙げた。
この他、全国で先進的な取り組みを進める4市の水道事業担当者による対談、AIを道路の維持管理に役立てるための官民連携の取組、災害に備えたフェーズフリーのインフラ管理のためのデジタル化の重要性などに関する発表もなされた。
事後の来場者アンケートでは、今後取り上げてほしいテーマとして「インフラ老朽化対策の最新技術」が最多となった。「自治体間の連携・広域的な取り組み」「IoT・センサー技術の活用事例」「災害に強いインフラ構築」「台帳DX・データ標準化」が上位に入った。先端技術そのものに加え、広域連携やデータ標準化など運用・制度設計に関わるテーマへの期待が高く、各地の現場ではすでに技術の導入から実装・定着へと段階が移りつつあるようだ。
関連記事リンク
https://www.projectdesign.jp/articles/7f5edd01-0e62-4bd5-8ce1-c8ee5b5d0b87