jig.jp 鯖江発のARグラス「SABERA」を発表、日常で着用し続けられる設計

ライブ配信アプリなどを手掛けるIT企業のjig.jpは2026年4月17日、自社開発のARグラスブランド「SABERA(サベラ)」の新製品発表会を開催した。4月20日よりクラウドファンディングサービス「Makuake」で先行販売を開始した。初期ロットとして8500台の販売を計画しており、2026年7月以降に自社ECおよび販売代理店を通じた本格展開に移行する。

「SABERA」では、リアルタイム翻訳、文字起こし・AI要約、原稿表示(テレプロンプター)、ナビゲーション、AIアシスタントなどの機能をハンズフリーで利用できる。AIとしてはGoogle Geminiを搭載している。ディスプレイは片目表示となっている。重量は40グラム、販売価格は定価で税込9万2400円。

発表会では、代表取締役社長CEOの川股将氏が製品コンセプトと事業戦略を説明した。SABERAの特徴は日常での利用を優先し、カメラとスピーカーを搭載しなかった点にある。カメラは、搭載していると装着を続けにくい場面があるため外し、スピーカーは軽量性と終日装着の快適性を実現するために省いた。

開発パートナーとして登壇したCellidの白神賢CEOは、SABERAで採用されたARグラスレンズ(導光板)について、「厚さ1ミリメートルの透明なディスプレイであり、光学製品であるが、その製造には半導体レベルの加工技術を要する」と解説。材料技術や加工技術の進歩によってようやく実用化が可能になったと述べた。jig.jpが2025年にCellidと出会い、わずか1カ月後にはプロジェクトが立ち上がったという経緯も明かされた。

また、監修を行った鯖江の老舗メガネメーカー・ボストンクラブの小松原一身代表取締役は、デザイン面でのこだわりとしてファッション性、かけ心地、視力矯正対応の3点を挙げた。同社は海外IT企業とのスマートグラス開発で3年以上の経験を持ち、チタン素材の加工や溶接、表面処理などの知見を蓄積してきたという。

jig.jpでは「SABERA」について、3年後に累計10万台の販売を目標に掲げる。川股氏は、この目標を達成するためにはアーリーアダプター層だけでなく幅広い層への訴求が不可欠だと話した。BtoC・BtoBの両面で販路を拡大する方針だという。既に介護施設や大手メーカー、外国人向けサービス事業者などから問い合わせが寄せられているという。販売チャネルはMakuake後にEC・リアル店舗へ展開し、眼鏡専門店や家電量販店も視野に入れる。また秋には次世代モデルの開発にも着手する。国内市場での基盤構築後はグローバル展開も視野に入れる。

一般消費者向けARグラスは、海外メーカーを中心に製品展開が進んでいるが、国内ではまだ市場が成熟していない。jig.jpは先行して参入し、市場を形成していきたい考えだ。