京都発茶業スタートアップ、ストーリーで取引するプラットフォーム『WTEA』始動

京都発茶業スタートアップのWMATCHA&CO.合同会社は、日本茶のダイレクトトレードプラットフォーム「WTEA」を本格始動したことを2月27日に発表した。日本茶を「量や価格」ではなく、「誰が、どんな生き方で作ったか」という背景ごと取引する仕組みで、日本茶において生産者単位でのストーリー発信・価格決定・少量取引を一体化したダイレクトトレード型プラットフォームで、世界中の日本茶愛好家に新たな価値を提供する。

WTEAでは、生産者自身が自らの言葉でお茶を出品し、価格や最小ロット、ストーリーをすべて生産者が決定する。仲介業者を介さないため、品質と価格の透明性が確保される点が特長だ。現在は海外バイヤー向けに限定公開(英語版のみ、日本からの注文も可能)しており、海外のレストランやカフェ、ティーハウス、ウェルネスブランドを中心に利用が広がっている。同社は2030年までに「生産者の生き方で選ばれる」ことを日本茶における世界標準にすることを目標に掲げる。

プラットフォーム構築の基盤となったのは、創業者2人による徹底した現場主義だ。2025年5月から2026年2月までの1年未満で、アジア・ヨーロッパ・北米を中心に6カ国を巡り、200件以上の海外バイヤーと直接面会。同時に国内8地域以上の生産者を訪問し、茶畑や製茶現場の実態を把握した。こうした一次情報の蓄積が、生産者と海外バイヤーを直接つなぐ仕組みの設計に活かされている。

世界的な抹茶ブームにより日本茶の海外需要は拡大しているが、その需要に応えられるのは設備投資が可能な一部の大規模生産者に限られている。海外市場では産地や作り手の違いが見えないままグレードと価格だけで取引されるケースが多く、結果として中小規模の茶農家が産業から離れていく現実がある。WTEAはこうした構造的課題に対し、生産者の個性や哲学を可視化することで適正な評価と取引の実現を目指す。

同社はWTEAの役割について、ミクロには「若い生産者が自分の哲学で茶業を続けられる産業構造」をつくること、マクロには透明性と個性を重視する世界中の日本茶愛好家がつながる「グローバルコミュニティ」を形成することだと位置づけている。日本茶の流通に「量や価格」とは異なる価値の軸を立てる試みとして、産業の持続可能性を高めるモデルになるか注目される。