人事評価を効果的にするフィードバック方法3つ 最新マネジメント研究から

(※本記事は『THE CONVERSATION』に2024年10月16日付で掲載された記事を、許可を得て掲載しています)

マネージャーとしてフィードバックする際、まるで綱渡りをしているように感じることがある。成果を褒める場合も、改善点を指摘する場合も、コミュニケーションの仕方によってフィードバックの受け止められ方やその後の行動が大きく左右されてしまうからだ。

私たちはビジネススクール教授として、人事評価をできるだけ円滑に進めるための研究を行い、効果的・建設的なフィードバックを返すための3つの重要な戦略を見出した。

これらの戦略を活用すれば、フィードバックの質を高め、前向きで生産性の高い職場環境の構築を促進できる。

1. 褒める時も指摘する時も、感情を持ち込まない

「がっかりした」や「誇りに思う」といった表現がフィードバックの会話全体を一変させることに気づいたことはないだろうか。これは、特に感情に訴える言葉がフィードバックの受け取り方に影響を与えるためである。

私たちの研究によると、「がっかりした」などの否定的な感情の表現は、社員のモチベーションや努力を低下させる傾向がある。これは、社員が自分のパフォーマンスから離れて、マネージャーが自分をどのように評価しているかに意識が向いてしまうためだ。

一方で、「満足している」といった肯定的な感情の表現も逆効果になる場合がある。社員が自己満足に陥ってしまう可能性があるからだ。

ここでの重要なポイントは、特に否定的なフィードバックを伝える際には、感情的な表現を避け、感情を交えない言葉を使用することが、社員がフィードバックの内容に集中し、個人的に受け止めることなく業務に専念できるということだ。

例えば、「売上実績に失望している」ではなく、「売上実績が目標に届いていないので、改善策を話し合いましょう」といった中立的な表現に置き換えてみるとよい。

言葉に感情を抑えることで、会話の焦点をパフォーマンスに絞ることができ、社員が改善点を明確に理解しやすくなる。

2. フィードバックの頻度・形式を選べるようにする

すべての社員が同じフィードバックの形式を求めているわけではない。社員が評価の形式や頻度を選べるようにすることで、業務成果の向上が促進される。

私たちの研究によると、フィードバックの頻度や形式を選ぶ自由がある社員は、人事評価のプロセスを有効活用しやすくなり、マイクロマネジメントされていると感じることも少なくなるという。

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