増加するAI不動産鑑定 透明性・信頼性のため監査の仕組みが研究中

(※本記事は『THE CONVERSATION』に2024年10月10日付で掲載された記事を、許可を得て掲載しています)

ニュージーランドの経済は「住宅市場が中心で、それに他の要素が付け加えられているもの」と言われることがある。住宅の売買は国民的な関心事であり、国内の住宅価格の上昇がこれを支えている。

しかし一般の人々は、不動産鑑定というものがどのように行われているかについてほとんど理解していない。不動産鑑定は、多くの銀行が住宅ローンとしていくら貸し出すかを決定する際の重要な要素であるにもかかわらず、だ。

人工知能(AI)を活用して膨大なデータを処理し、瞬時に不動産の価値を算出する自動評価モデル(Automated Valuation Model、AVM)は、このプロセスの透明性をあまり改善していない。

このモデルは2010年代初頭にニュージーランドで広まり始めた。当初は、不動産売買の記録や自治体の情報など、限られたデータソースを使用していたが、現在の高度なモデルは、ニュージーランド土地情報局(LINZ)などの高品質な地理空間データを含んでいる。

AIによって効率性は向上したが、AVMの背後にある独自のアルゴリズムは、住宅オーナーや業界専門家が具体的にどのように価値が計算されたのかを理解することを困難にしている。

進行中の我々の研究では、AVMの自動評価の仕組みを検証するための枠組みを開発している。我々は不動産鑑定に関する数字がどのように解釈されるべきか、そしてAIモデルが見落とす可能性のある要因について調査してきた。

ニュージーランドのように地理的・文化的に多様な不動産市場では、このような点は重要である。AIが不動産評価に急速に導入されている現在、問題は単なる技術革新やスピードではなく、信頼、透明性、そして説明責任を果たすための堅固な枠組みが必要となっている。

AI不動産鑑定の評価モデルはブラックボックス

ニュージーランドにおける不動産鑑定は、従来、労働集約的なプロセスであった。鑑定士は通常、物件を現地調査し、市場の比較を行い、専門的な判断を下して最終的な価値を算出していた。

しかし、この方法は時間がかかり、費用も高く、ヒューマンエラーも発生しやすい。より効率的な不動産鑑定が求められる中で、AIの導入は皆が必要としていた変化をもたらした。

ただし、これらの評価モデルの普及には課題もある。AIはスピードと一貫性がある一方で、透明性の欠如という重大な問題を抱えている。

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