アパレル不況の中、成長を続ける「オムニチャネルSPA」とは

ファッション業界では、実店舗をほとんど持たず、オンライン中心で販売を行う新たな業態『オムニチャネルSPA』が急成長している。日本での代表例が、メンズファッションレーベル『LaFabric』だ。

オンライン上でスーツやシャツをカスタムオーダーできるファッションレーベル『LaFabric』のECサイト

『LaFabric』のポップアップ店舗。オムニチャネルSPAでは店舗は「体験の場」として機能する

自分らしいスーツをオンラインでカスタマイズ

オンライン上でスーツやシャツをカスタムオーダーできるファッションレーベル『LaFabric(ラ ファブリック)』。商品ラインナップは600種類を越え、それぞれデザイン、生地、サイズを自由に選ぶことができ、その組み合わせは約15億通り。高品質な生地と国内製造でありながら、既存のテーラーに比べて納期が短く、百貨店等で販売されている同品質の製品と比較すると、30〜50%程度のコストダウンに成功している。

ターゲットは20~30歳台のミレニアム世代。物心ついた頃からITデバイスやインターネットに触れてきたデジタルネイティブだ。

「彼らはスマホから気軽に買える利便性や、製品が手元に届くまでの"見える化"による信頼性を求めています。商品選びの目が厳しい反面、一度気に入るとリピートしてくれる人が多く、クチコミやSNSなどで周りに勧めてくれます」と語るのは、LaFabricを展開するライフスタイルデザインの代表取締役社長CEO、森雄一郎氏。

2016年の売上は前年比300%という好調ぶり。原動力となっているのがリピーターの存在だ。リピート率は非公開だが、アパレルECサイトの平均を大きく上回る数値で、年間数十万円分を購入する人もいる。さらに、約3ヶ月ごとに新シリーズを出していることも、定期的な購入につながっている。

森氏は、大学在学中に単身渡仏し、パリコレクションなどのファッションショーの取材を経験。卒業後もファッション関係の仕事を経験したのち、2012年に独立。今や米国でも人気のフリマアプリ『メルカリ』の立ち上げに携わったあと、2014年2月にベータ版としてLaFabricを開始し、翌年3月に正式にリリースした。

不動産の会社で営業に携わっていた際に、身長が高く腕も長いことから、スーツ選びに苦労したという森氏。友人から勧められたオーダーメイドに魅了され、「敷居の高かったカスタムオーダーを身近な存在にしたい」との思いからLaFabricの事業化に至ったという。

アパレル不振と言われる昨今でもオーダースーツ市場は年率4%で成長しているように、消費者のニーズは大量生産からオーダーメイドへと着実に変化している。また、作り手にも変化が起こっている。テクノロジーの進化により、効率的な多品種・小ロット生産が徐々に可能となってきたからだ。

こうした大きな潮流を読み解きながら、「既成品を選んで買う」から「好みの服は自分でつくる」がネクストスタンダードになる、と森氏は10年後のアパレル業界を見据える。

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