2015年9月号
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ビジネスモデル分析の視点

価値連鎖の「解体」で新ビジネスを創出 ラクスルの事業にヒント

山田 英夫 (早稲田大学 ビジネススクール 教授)

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ラクスルは、価格が曖昧で非効率だった印刷業界の仕組みを変革。同社のビジネスモデルは、印刷の川上から川下までのバリューチェーン(価値連鎖)の中の特定の事業に特化することで、生み出された。

ラクスルは、2009年9月に設立。インターネットで印刷の注文を受け付け、案件の内容・納期に応じて、最適な印刷会社を選び、マッチングを行う

Case Study

多重な下請け構造、仕事の変動量が多く、平均稼働率が 5~6割程度という印刷業界に目をつけたのが、ラクスルである。同社は2009年に創業された「インターネットを使った印刷通販業」である。

企業が外部の業者に印刷を依頼する場合、なじみの業者に発注することが多く、案件ごとに最適な印刷会社に頼めていないという事実があった。そこでラクスルは、印刷会社の見積もりをネット上で一覧比較できるサイトの運営を始めた。

しかし、サイトの中から一番安い印刷会社に発注しても、品質が期待を下回るケースが相次いだ。一方、印刷会社側も、顧客からの入金が円滑でないことに不満があった。

そこで2013年に戦略を転換し、ラクスルが決済業務を代行するとともに、品質に責任を持つ仕組みに改めた。

ラクスルは2万4000社の印刷会社を会員組織化し、発注者からの依頼を印刷の種類や納期などに応じて印刷会社に割り振る。これによって発注者は、早く、安く印刷ができ、印刷会社は、手余りの設備を使って仕事を受けるため稼働率が上がり、ラクスルは仲介手数料を受け取るWin-Win-Winの仕組みを作った。

新たな印刷需要を掘り起こす

チラシやカタログの印刷需要は、繁忙期と閑散期のギャップが大きく、印刷会社にとっても、ラクスルからの仕事は設備稼働率を上げるために有効である。名刺は100枚から印刷可能で、価格は一般的な価格の3分の1程度である。

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