既存ビジネスの問題点を突く

コモディティ化したポイントカード市場で、一風変わったビジネスモデルが新たな流れを生み出している。 有効期限切れの失効ポイントからカード会社に流れるマネーに着目。 失効ポイントが地域の社会貢献活動へ寄付されるというシステムで、多数の会員を獲得している。

サイモンズのポイントカード。これまで400種類以上を発行した

年間4000億円の失効ポイントが消費者からカード会社へ

顧客の囲い込みやマーケティングを目的に、今やあらゆる企業や団体が発行するポイントカード。野村総研の調査によれば、主要10業種(家電、航空など)における大手企業のカードだけで年間1兆円のポイントが発行されている。驚くべきは有効期限切れで失効するポイント数だ。「1兆円のうち年間4000億円が失効していると言われます。中小企業や個人商店のポイントを含めれば規模は数倍になるでしょう」と指摘するのは、サイモンズの斉川満社長だ。

サイモンズ・斉川満社長

斉川氏は長年、大手航空会社でマイレージカードの企画に携わり、マイレージの異業種提携戦略を進めた人物だ。「現在のポイントカードは、言わば大企業の一人勝ちのスキーム。加盟店から手数料をとり、消費者の失効ポイントは儲けになる。さらに顧客データは独占できる。一方で加盟店や消費者の不満は溜まっていく。このビジネスモデルは、どこかで破綻するのではないか」と疑問を抱えていた。

2003年に創業したサイモンズで考案したのが、「ためて、使う」という仕組みに基づいた従来型のポイントサービスをパラダイムチェンジして、市場に潜む失効ポイントを集約し、地方自治体や慈善団体などに寄付する新しい仕組みだ。

さらに地域だけでなく、消費者にも企業(加盟店)にもメリットのある、「Win-Win-Win」と言える持続可能なポイントカードを目指した。

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