ヤフーCSOが語る「AI×データ」はビジネスをどう変えるか?

「情報産業革命」の時代に入り、ビッグデータ、AI(人工知能)という言葉が日常的に使われるようになった。これからの経営資源は「ヒト・データ・キカイ」となり、データ、キカイをビジネスにどのように活かしていくかが重要となる。

誰もが「検索」で、必要な情報を取りにいく時代になった。この変化は、Windows95が発売された1995年を境に始まり、情報伝達手段も手紙や電話から、電子メールやSNSなどに変わった。ヤフーのチーフストラテジーオフィサーを務める安宅和人氏は、「これは単なる道具の置き換えではない。情報伝達の速度や意味、表現手法など、コミュニケーションそのものが変化した」と話す。調べ物も同様に、辞典や電話帳などが姿を消し、誰もがスマートフォンやパソコンで検索するようになった。

「この10年間でコンピュータの計算キャパシティは爆発的に増加しました。あと5年も経つと、インターネットに繋がったデバイスの数は1人あたり20~30にもなります。そこでは莫大なログデータ、いわゆるビッグデータが蓄積されます。これまでは発生するデータの1%程度しか活用していなかったと推定されていますが、計算能力と情報科学の進化によって今までにないデータ活用が可能になるでしょう。私たちはその歴史的局面にいるのです」

安宅和人(ヤフー チーフストラテジーオフィサーデータサイエンティスト協会理事)

産業革命によって人々の生活や文化や価値観が劇的に変化したように、いま起きている「情報産業革命」は社会を大きく変える可能性があるという。

ビッグデータの本質とは

ビッグデータはとかくデータの大きさばかりが注目されるが、安宅氏は「ビッグデータの本質は『全量性』と『リアルタイム性』にある」と指摘する。たとえば、ヤフーの場合、毎日一定量以上コンスタントに検索される単語は60万種類ほどだが、1年1回以上検索される単語の全てを数えると75億種類を超える。このサンプリングされない膨大なロングテールにこそビッグデータ情報特有の価値がある。

「データ利活用の時間軸も変わります。行動観察データは入手から利用できるまでに日単位の時間がかかりますが、ビッグデータは利用まで0.1から0.2秒程度しかかかりません。このように利用可能な情報の鮮度が五桁以上も違います。そして鮮度による効果の違いはデジタル広告の分野では歴然です」

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