テレグラム創設者の逮捕、有罪ならプラットフォームの管理規制強化に影響大
(※本記事は『THE CONVERSATION』に2024年8月26日付で掲載された記事を許可を得て掲載しています)

2024年8月24日、パヴェル・デュロフ氏が自家用機でフランスに到着した際、彼を出迎えたのは警察だった。テレグラムの創設者である彼は、このメッセージプラットフォームを通じて行われた多数の犯罪を助長した疑いで逮捕された。
翌日、フランスの裁判官はデュロフ氏の拘留期間を延長し、最大で96時間の拘留が認められた。
テレグラム側はデュロフ氏に対する疑惑を否定し、声明の中で次のように述べた。
「プラットフォームやその所有者が、プラットフォームでの不正行為に対して責任を負うという主張は、全くもって不条理である。」
この事件は、テレグラムだけでなく、他の世界的なIT企業にとっても、国際的に大きな影響を及ぼす可能性がある。
パヴェル・デュロフとは?
1984年にロシアで生まれたパヴェル・デュロフ氏はフランス国籍も持っている。ロシア・ウクライナ戦争でテレグラムが重要な役割を果たしたり、過激派や犯罪者によって幅広く利用されていたにもかかわらず、彼が自由に渡航できた理由はそのためかもしれない。
デュロフ氏は2006年にロシアで非常に人気のあるソーシャルメディアサイト「VKontakte」を立ち上げたが、そのサイトの新しい所有者との運営方針を巡る対立により、2014年に退いた。
その直前に彼はテレグラムを創設している。このプラットフォームはコミュニケーションとデータ交換の両方を、暗号化通信による保護と同時に提供するため、犯罪の追跡や対処がこれまで以上に困難になっている。しかし一部の国では、反対意見や抗議を抑圧しようとする権威主義的な政府に抵抗するための手段ともなっている。
デュロフ氏は、イーロン・マスク氏やマーク・ザッカーバーグ氏といった著名なIT業界の人物ともつながりがあり、自由主義を支持するIT業界の人々からも広く支持を受けている。しかし、彼のプラットフォームは、その生まれ故郷であるロシアでも法的な課題に直面している。
異例のパヴェル・デュロフ氏逮捕はプラットフォーム規制の流れ
フランス当局によるデュロフ氏の逮捕は、異例のターゲット選定と言える。
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