ワカパル、京都・妙心寺塔頭の僧侶と京の伝統工芸士による共創ブランド「禅静 -ZenSei-」を販売開始

株式会社ワカパルは、京都・臨済宗妙心寺塔頭の僧侶と京の伝統工芸士が共創する新ライフスタイルブランド「禅静 -ZenSei-」を、2026年5月19日に販売開始した。コンセプトは「心をお寺に置く」。日常のなかにお寺の縁側に腰を下ろし、庭園を眺めながら一服の茶を喫するような静寂を提案するブランドで、掛け軸・額装、和蝋燭、線香、竹細工リードディフューザー、京金網細工の茶こしなど、現代の住空間に調和する商品を展開する。

ブランドが目指すのは、「禅」を特別な日のものから日常のものへと近づけることだ。世界的なマインドフルネスの潮流のなかで日本独自の「禅」文化への関心が高まる一方、現代の住空間には床の間がなく伝統工芸を取り入れにくいという声も少なくない。同ブランドは、寺院の境内に流れる空気と職人の手仕事を、マンションのリビング、書斎、ホテルラウンジ、ギフトシーンに違和感なく溶け込む形へと再設計している。

特徴の一つは、京都・妙心寺塔頭の現役僧侶二寺院が監修・揮毫に参画している点だ。織田信長が帰依した蘭叔玄秀ゆかりの「養徳院」(1583年創建)の横江一徳氏が、掛け軸・額装の真筆揮毫と商品開発の監修を担当。塔頭寺院ながら国指定史跡名勝の庭園を擁する「桂春院」(1598年創建)の安楽島康正氏が、線香や竹素材の監修を担う。もう一つの特徴が、桂春院の境内の竹(間伐竹)の商品化だ。江戸時代に小堀遠州の弟子・玉淵坊が作庭した国指定名勝庭園の竹が、暮らしの道具として世に出るのは本ブランドが初の試み。京都の竹工芸の名門「竹又 中川竹材店」十一代当主・中川裕章氏の制作指揮のもと、一節ずつ手で削り編み上げた竹細工ルームディフューザーとして仕上げられている。さらに、桂春院監修の「線香 桂春院の祈り」をはじめとする一部商品は、売上の一部が桂春院の建造物・庭園の修復維持に充当される。

ブランドの体制は、寺院の僧侶、京の伝統工芸職人、書家、写真家による共創で構成されている。前述の横江氏・安楽島氏に加え、書家・藍州氏が書の真筆揮毫を、表具師・木戸勇人氏が掛け軸と額装の表装を、和蝋燭職人・田川広一氏が和蝋燭製作を、中川裕章氏が竹細工リード製作の指揮を、写真家・市野宏明氏がブランドビジュアルを担う。販売は公式オンラインストアを通じて行われる。

近年、伝統工芸品は観光土産にとどまる傾向や、後継者不足、原料調達の課題を抱えてきた。寺院もまた、訪問観光に依存しない持続的な維持・修復の財源確保が問われている。今回のブランドは、僧侶の監修・揮毫と京の職人技を組み合わせ、生活空間で日常的に使える形へと商品化することで、伝統工芸と寺院文化の双方を現代の暮らしと結びつける試みだ。売上の一部を寺院の維持・修復に還元する仕組みも組み込まれており、京都の文化的景観を継承していくモデルとして注目される。