国土交通省 地域公共交通の「リ・デザイン」中間取りまとめ発表

国土交通省は、2023年2月28日、地域公共交通部会による議論の中間とりまとめを発表した。これまでの地域公共交通活性化再生法改正の成果・課題や、最近の社会・経済情勢の変化を反映して、速やかに実施すべき具体策をまとめた。

同部会では、地域公共交通を「共創」で「リ・デザイン」し、対症療法だけでない体質改善を進め、高齢化などに伴う地域課題を解決すべき、という方向性で議論が進んでいる。そして制度面では、ローカル鉄道の再構築に向けた合意形成、バス・タクシーなどでエリア一括協定運行ができるようにすること、地域の事情に合わせた運賃設定を可能にする取組を支援するとした。また地域のまちづくり・地域づくり政策との連携を強化し、採算性向上・利便性向上につながるDXやMaaSによる高付加価値化も後押しする。

これを実現するための財源については、交通事業者等への運行支援、共創の促進など先進的な取組を推進するための予算を拡充する。地域公共交通の再構築に必要なインフラ整備を支援する制度を創設し、さらに財政投融資・税制特例を活用して、鉄道・バス・タクシーのDX・GX出融資制度をつくり、またローカル鉄道再構築やEVバス導入促進のため税制特例措置を拡充・創設していく。

今後検討すべき課題として部会が挙げたのは、交通不便地域における改善策、統合による規模・範囲の経済の実現と効率化に向けた地域の公共サービスの一体運営、政策立案の前提となるデータの収集・利用などだ。地域公共交通の利便性・持続可能性・生産性をさらに高めるため、中長期的観点からなお解決すべき課題があると指摘している。

国交省では、同部会の前にも、地域と鉄道事業者の協働による地域モビリティ刷新や、アフターコロナに向けた地域交通の「リ・デザイン」について検討会で議論していた(月刊事業構想2022年9月号参照)。そして交通政策審議会交通体系分科会の地域公共交通部会を2022年10月からこれまでに3回開催。地域公共交通活性化再生法の計画制度をはじめ、今後の地域公共交通政策のあり方について審議した。同部会は今後も検討を続け、最終的な取りまとめの発表は2023年夏を予定している。

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