リビングハウス 家具店再生から地方創生事業に本格参入
リビングハウス(大阪市)は、2023年2月27日、自社事業について説明会を開催し、地方創生事業に本格参入すると発表した。リビングハウスは直営店での家具・インテリアの小売り事業のほか、地方の家具店・百貨店の施設再生、事業再生事業にも取り組んでいる。
家具メーカーとして1942年に創業したリビングハウスは、家具の小売や空間デザイン事業に進出し、家具インテリア市場が縮小する中でも売上を伸ばしてきた。2024年には60億円の売り上げを達成し、株式上場を目指している。直営店・フランチャイズ店は商業施設を中心に出店しており、実際に家具を使っている様子を再現する「生活空間型展示」に特徴がある。ドイツのデザイナーズブランド「KARE」の国内総代理店でもある。同社社長の北村甲介氏は「高収入でトレンドに敏感な顧客層をつかんでいる」と説明する。店舗と顧客層を活用して、他社の感度の高い生活家電などを展示販売する「LIVING X」事業も立ち上げた。
このような場所づくりのノウハウを生かして、現在力を入れているのが、地方の家具店の再生事業だ。地方都市の昔ながらの家具店を、今の若者にアピールするデザインにリニューアルさせる。家具店そのものからのほか、投資ファンドなどから依頼を受けて再生を担ったケースもある。より大規模な再生事業では、2016年に福岡県の家具メーカー・ナガノインテリア工業の大規模倉庫を店舗としてリニューアルした。カフェや家具作りを体験できるスペースを備えており、家族連れが訪れる場所になったという。
さらに、2022年からは地方都市の百貨店の活性化も手掛けるようになった。まず2022年末には、そごう徳島店が撤退した後に開業したamico徳島にリビングハウスの店舗をオープンさせ、同時に徳島市と包括連携協定を締結した。また2023年1月には、フランチャイズによりJU米子高島屋の最上階インテリアフロアに、「KARE」の家具を主体とするデザイン性の高いショップを開業した。
同社の進出について、徳島市長の内藤佐和子氏は「百貨店撤退後の空白を埋めるだけでなく、若い女性が働きたいと思える場所が市内に生まれたことで、Uターンが増えるのではないかという期待がある」という。またJU米子高島屋を運営するジョイアーバン取締役副社長の本田修司氏は「オープンから1か月が経過したところだが、若いカップルや母娘のペアなどが来店するようになり、空気が変わった」と話す。
北村氏は「若い社員の中には、地域へ貢献したいと考える人が本当に増えている。企業経営上も間接的なメリットはあると思う」と語り、地域の活性化や地方創生に関わる事業に注力する方針を示した。