ゴールドウイン 富山県南砺市の「Play Earth Park」の計画詳細を発表

ゴールドウインは、富山県南砺市に2027年初夏に開業予定の「Play Earth Park Naturing Forest」構想の詳細を2025年4月25日に発表した。同社は創業の地である富山県に、子どもたちが自然に親しむことができる公園空間を創造することを目指して、創業70周年にあたる2020年からプロジェクトを開始していた(関連記事)。

ゴールドウイン社長の渡辺貴生氏は、この施設のコンセプトを「スポーツの起源である遊びを通して、自然や環境との新たな関わりを生み出します。特に子どもたちに『地球と遊ぶ』機会をつくりたい」と説明した。

Play Earth Park Naturing Forestは、南砺市の桜ヶ池の近傍の約40ヘクタールの敷地に、庭園と子どもたちが遊ぶためのプレイグラウンド、キャンプサイト、宿泊施設であるヴィラやコテージ、飲食店・ショップなどを擁する施設となる計画だ。運営会社はゴールドウインの子会社の株式会社PLAY EARTH PARK。

公園としての施設全体の計画を実施した高野ランドスケーププランニング社長の村田周一氏は「計画地は、人と自然との接点に位置する場所。スギの人工林を間伐してゆっくりと自然林に戻し、複雑な地形・微気象を生かして小動物や虫などのための環境をつくっていく」と説明した。ガーデンデザイナーのダン・ピアソン氏は「人と自然を緩やかにつなぎ、敷地内を歩くだけで様々な景色が楽しめる庭園を造りたい」などと話した。

今回の構想発表会では、施設内の建物を設計する6者の建築家が設計の意図を語った。ヴィラ、レストラン等を担当する新素材研究所の榊田倫之氏は「土地に対する建物の方位に注意し、この場所の美しさを感じられるようにしたい。小さい美しい建築をつくりたいと考えている」という。展望台、コテージを設計するリナ・ゴットメ氏は、「木材を用いた展望台では、地下から樹冠まで、周囲の自然を観察できるようにする。視点を変えることで、観察者である人間の感じ方も変わる、という体験ができるようにしたい」と語った。

子どもたちの遊び場であるパークをつくる萬代基介氏は、土地の起伏を生かして建物の内部と外部がつながるような建築を構想している。Play Earth Parkのエントランスで、レストランや物販のスペースであるプラザ棟を担当する川島範久氏は、この建物で日本で初めて環境配慮型建築の国際認証「Living Building Challenge」を取得することを目指す。

キャンプサイトのトイレやシャワー、炊事場などの設備は、英国の建築家集団Assembleが設計する。地元の粘土やもみ殻などの資源を用いるとともに、南砺市の地場産業の廃材を活用した建築を計画している。敷地内の池のそばのアクティビティセンターなどを担当する富山県の設計事務所、本瀬齊田建築設計事務所では、現場の土を使った土壁をもつ建物をつくる考えだ。

今回の説明会には、富山県南砺市市長の田中幹夫氏も参加した。「南砺市には『土徳』という言葉があり、土地と地域、人々の共生が魅力になっている。世界遺産・五箇山、砺波平野の散居村という観光資源があるが、滞在時間が短いのが難点だった。PLAY EARTH PARKで観光客や雇用が増えてほしい」と期待を込めて語った。

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