白馬のズクトチエ、オリエンタルランドCVCから8800万円を調達 観光再生を加速

長野県白馬村を拠点に観光施設の企画・開発・運営を手がけるズクトチエは、オリエンタルランドの全額出資子会社であるオリエンタルランド・イノベーションズ(OLI、千葉県浦安市)を引受先とする8800万円の第三者割当増資を2026年9月に実施した。2026年10月22日に発表した。

OLIが、地方を拠点に観光施設の企画・開発から運営までを一貫して手がける事業者に出資するのは今回が初めて。マイノリティ出資のため、OLIからの役員派遣はなく、ズクトチエの経営体制にも変更はない。ズクトチエは、調達した資金を観光施設の取得・再生を通じた事業の拡大や人材採用に充てる計画だ。OLIとの連携を通じて、施設運営や人材育成の知見も取り入れる。

ズクトチエは「イナカの観光業をアップデートする」をミッションに掲げ、2022年7月に設立された。白馬では国内外からの観光需要が拡大する一方、宿泊施設の老朽化や経営者の高齢化、人手不足、事業承継といった課題が表面化している。同社は、十分に活用されていない地域の建物や自然、文化を「隠れた資産」と位置付け、新たな観光コンテンツや事業として再生してきた。

同社グループでは、白馬村・小谷村・大町市にまたがるHAKUBA VALLEYエリアを中心に20近くの施設・事業の運営や再生に関わっており、設立後に新たに手がけた施設・事業は11件に上る。主な事例として、青木湖畔に2024年に開業した「ao LAKESIDE CAFE」とサウナに、約2年で累計22.5万人が訪れた。白馬岩岳エリアでは、40年以上営業してきた「ロッジいとう」を、オーナーの住居を残したまま宿泊部門だけを長期賃借する方式で「B&D HAKUBA IWATAKE」として再生。冬季のトップシーズンには平均客室単価(ADR)7万9000円、客室稼働率(OCC)51.8%を記録した。オーナーの高齢化により廃業する民宿が増える中で、元の持ち主が地域に居住を続けつつ、宿泊施設も稼働を続けられるビジネスモデルの構築を目指している。さらに、2026年10月には地域ブランド「白馬ハム」の製造・販売事業を承継し、食品製造にも事業領域を広げた。HAKUBA VALLEYエリア外でも、長野県の観光人材育成プログラムの事務局運営や、県内外のスキー場のマスタープラン策定などのコンサルティングを手がける。

OLI社長の麻畠万暉氏は、日本の観光地が人口減少や人手不足、施設の老朽化といった課題を抱える一方、インバウンド需要の拡大などで大きな可能性があると指摘。構想や助言にとどまらず、投資・開発・運営まで自ら担うズクトチエの実行力を評価した。ズクトチエの和田寛共同代表(関連記事)は、資金や人的資本、魅力的な施設づくりと運営ノウハウ、人材育成の知見などを得ることで、より迅速な事業展開が可能になると期待している。