ニコン初のスピンオフ企業、クロスセクターが7.7億円調達 鉄骨計測センサー増産へ
ニコン初のスピンオフ企業であるクロスセクター(東京都町田市)は2026年10月22日、シード期からシリーズAまでの累計で、出資と金融機関からの融資を合わせ7.7億円を調達したと発表した。主要投資家はニコン、Coral Capital、みずほキャピタル、アニマルスピリッツ26、三伸機材、SMBCベンチャーキャピタル、三菱UFJキャピタル。調達資金は、建築センシングサービス「Frame Finder」の増産、鉄骨の自動調整機構の開発、組織体制の強化に充てる。
Frame Finderを取り付ける様子(ニコンのプレスリリースより)
建設現場では、熟練技能者の高齢化と人材不足が進むなか、施工品質を維持しながら生産性を高めることが求められている。鉄骨の組立工程では、柱の位置を測り、調整や締結の後に再び測る作業が繰り返され、測量を担う人材の確保が工程管理にも影響する。クロスセクターは、この繰り返しの測定を効率化し、限られた人員でも精度の高い品質管理を行える仕組みを提供することを目指している。
建築センシングサービス「Frame Finder」は、初回に従来の測量機で測定した柱頭位置を基準に、建て入れ直し、本締め、溶接などの工程で生じる柱頭位置の変化をセンサーで自動計測する。鉄骨柱1本あたりの測定時間は、従来の15分から15秒へ短縮できる(同社の測定条件による)。測定データはクラウドへ自動保存され、現場の端末から結果を確認できるほか、管理者による進捗確認や工程承認にも活用できる。測定から記録・確認までをつなぎ、手作業による転記の負担やミスを減らすことで、省人化と品質管理の信頼性を両立させた。2026年10月時点で、大手建設会社を中心に30件以上の現場で実証実験や試験導入を実施している。
クロスセクター代表取締役の宮脇崇氏は、「ニコンで培った精密計測技術を、業界の垣根を越えて現場の課題解決につなげたいとの思いを込めて、クロスセクターを設立した。センサーの増産を急ぎ、2028年までには国内での業界標準化を目指す」とコメントしている。